以前の記事の続きです。
今年の中学入試より通過算の第3回です。
その1(実践女子2024第3回)
ある列車が鉄橋Aを渡(わた)り始めてから渡り終わるまでにかかった時間は、この列車が鉄橋Bを渡り始めてから渡り終わるまでにかかった時間の4倍でした。鉄橋Aの長さは鉄橋Bの長さの何倍ですか。ただし、列車の長さは鉄橋Bの長さの半分で、列車は一定の何じ速さで止ります。
列車の長さを①mとし、わかりやすく列車の速さも秒速①mとする。
- このとき「列車の長さは鉄橋Bの長さの半分」だから鉄橋Bは長さ②m。列車が鉄橋Bを渡り始めてから渡り終わるまでに進む距離は②+①=③mだから鉄橋Bの通過に3秒かかる
- そして鉄橋Aの通過にかかった時間は「鉄橋Bを渡り始めてから渡り終わるまでにかかった時間の4倍」だから3×4=12秒。列車が12秒で進む距離は⑫mだからここから列車の長さ①を引くと鉄橋Aは長さ⑪m
よって鉄橋Aの長さ⑪は鉄橋Bの長さ②の
5.5倍
その2(大牟田中2024)
4両編成の列車が一定の速さで640mの鉄橋をわたり始めてからわたり終えるまでに36秒かかります。また、同じ速さで12両編成の列車が1440mのトンネルに入り終わってから出始めるまでに60秒かかります。どちらの列車も1両あたりの長さが同じとするとき、列車の1両あたりの長さは何mですか。
列車1両の長さを①m、列車の速さを秒速□mとすると
- 「4両編成の列車が…640mの鉄橋をわたり始めてからわたり終えるまでに36秒」かかるから ▢×36=640+④…ア
- 「12両編成の列車が1440mのトンネルに入り終わってから出始めるまでに60秒」かかるから ▢×60=1440-⑫…イ
ここで
- ⑫でそろうようにアを3倍すると ▢×108=1920+⑫
- これとイを足すと ▢×168=3360 だから ▢=20
- これをアに入れると 640+④=720 より ①=20
よって列車1両の長さは 20m
その3(早稲田中2024)
列車Aと列車Bが、平行に敷(し)かれた線路の上をそれぞれ走っています。列車Aの長さは列車Bの長さより42m短いです。次の問いに答えなさい。
⑴ 列車Aが車庫に入るために速度を落として時速21.6kmで走ったとき、停車している列車Bを完全に追いぬくのに33秒かかりました。列車Bの長さは何mですか。
列車Aは「停車している列車Bを完全に追いぬくのに33秒」かかった。
- 「時速21.6km」は(21.6×1000÷3600=)秒速6mだから列車Aは33秒で(6×33=)198m進んだ
- これが列車Aと列車Bの長さの和だから「列車Bの長さより42m短い」列車Aの長さは (198-42)÷2=78m
よって列車Bの長さは 78+42=120m
列車Aと列車BはP駅からQ駅まで走ります。342mのトンネルを完全にぬけるのに列車Aは列車Bの2倍の時間がかかります。
⑵ 列車Bの速度は列車Aの速度の何倍ですか。
- 「342mのトンネルを完全にぬける」のに必要な距離は列車A(長さ78m)が420m、列車B(長さ120m)が462m
- この距離を進むのに「列車Aは列車Bの2倍の時間」がかかったということは(距離は時間に比例するから)同じ時間だけ走ると列車Bの進む距離はいまの2倍になるということ。したがって同じ時間で進む距離の比は A:B=420:462×2=105:231=5:11
よって(速さは距離に比例するから)列車Bの速度11は列車Aの速度5の2.2倍
⑶ P駅とQ駅の間は16.5kmで、途中に5つの駅があります。列車Aはそれら5つの駅にそれぞれ1分間ずつ停車し、列車Bはそれら5つの駅をすべて通過します。P駅を列車Aが出発してから15分後に列車Bが出発したところ、2つの列車は同時にQ駅に着きました。列車Bの速度は時速何kmですか。
「P駅を列車Aが出発してから15分後に列車Bが出発したところ、2つの列車は同時にQ駅に」着いた。
- ここに「列車Aはそれら5つの駅にそれぞれ1分間ずつ停車し、列車Bはそれら5つの駅をすべて通過」したことも考え合わせると、仮に列車Aが途中停車しないとしたらP駅を列車Aが出発して10分後に列車Bが出発すれば2つの列車は同時にQ駅に着くということ
- 速さの比が列車A:列車B=5:11(小問⑵)だからかかる時間はその逆比で⑪:⑤。この差⑥が10分だから①=⁵⁄₃分。つまり列車BがPQ間16.5kmを走るのにかかる時間⑤は²⁵⁄₃分(=⁵⁄₃×5)
よって列車Bの時速▢kmについての比例式
16.5km:²⁵⁄₃分=▢km:60分 より
▢=16.5×60÷²⁵⁄₃=時速118.8km