以前の記事の続きです。
これまでの知識を総動員して回転体の体積を求めるときにとことん比を使うことで途中の計算がなくなって計算ミスをへらせる問題があります。
今年の出題例ではたとえば次のようなものがあります。
その1(明治大学付属中野八王子2023)
右の図形を直線𝓵のまわりに回転してできる立体の体積を求めなさい。ただし、円周率は3.14とします。
黒の直角二等辺三角形を回転させてできる円すいの体積を①とする。
このときいくつかの図形に分けて図形ごとの回転体の体積を考えると(円柱の体積は円すいの3倍であること、辺の比が2倍、3倍…になると体積比は8倍、27倍…になることから)次のようになる。
- 青の三角形…②(黒の回転体とあわせて③となるから)
- 黄の台形…⑦(黒の回転体とあわせて⑧となるから)
- 赤の長方形…2つの正方形にわけて考えると右の正方形の回転体の体積は③、左の体積は⑨(正方形の回転体の体積は内側から1:3:5…となっているから。前回記事の問題その3参照)
よって求める立体の体積は①+②+⑦+③+⑨=㉒とわかり、黒の直角二等辺三角形の回転体の体積①は28.26㎤(=3×3×3.14×3÷3)だから
28.26×22=621.72㎤
その2(早稲田佐賀2023)
右の図のような平行四辺形ABCDを直線𝓵を軸として1回転してできる立体の体積は▢㎤です。
黒の直角三角形を回転させてできる円すいの体積を①とする。
図形ごとの回転体の体積を考えると(辺の比が2倍、3倍、4倍…になると体積比は8倍、27倍、64倍…になることから)
よって求める立体の体積は㉚だから、黒の直角三角形の回転体の体積①は3.14×⁴⁄₃㎤(=1×1×3.14×4÷3)より 3.14×⁴⁄₃×30=125.6㎤
その3(須磨学園2023)
等脚台形ABCDを直線mのまわりに1回転させてできる立体の体積は▢㎤です。ただし、円周率は3.14とし、円すいの体積は、底面積×高さ÷3で求めることができます。
黒の直角三角形を回転させてできる円すいの体積を①とする。
等脚台形を底辺の長さ3㎝ごとに3つの図形に分けてそれぞれの回転体の体積を考えると(円柱の体積は円すいの3倍であること、辺の比が2倍、3倍…になると体積比は8倍、27倍…になることから)
- 左の三角形…②(黒の回転体とあわせて③となるから)
- 真ん中の長方形…⑨(合同な長方形の回転体の体積は内側から1:3:5…となるから)
- 右の三角形…⑦(青の三角形の回転体の体積が⑧、ぜんぶ足すと㉗だから)
よって求める立体の体積は②+⑨+⑦=⑱とわかり、黒の直角二等辺三角形の回転体の体積①は37.68㎤(=3×3×3.14×4÷3)だから
37.68×18=678.24㎤