以前の記事の続きです。
回転体の体積を求めるときに比を利用することで計算がずいぶんラクになることがあります。
たとえば次のような問題で効果的です。
その1(麗澤中2023)
下の図形を直線𝓵を軸として1回転させたときにできる立体の体積は▢㎤です。ただし、円周率は3.14とし、円すいの体積は「(底面積)×(高さ)÷3」で求められます。
2つの合同な大きな直角三角形(下図の赤枠。底辺2㎝、高さ4㎝)とこれと相似な小さな直角三角形(下図の青部分。底辺1㎝、高さ2㎝)に分けて考える。
小さな直角三角形(青)を回してできる円すいの体積を①とすると、大きな直角三角形(赤)を回してできる大きな円すい1つ分の体積は⑧
このとき求める体積は
⑧×2-①=⑮(重なっている①を2回数えているので1回分引く)
となり半径1㎝、高さ2㎝の円すいの体積①を15倍したものとなっている。よって
1×1×3.14×2÷3×15=10×3.14=31.4㎤
その2(桐光学園2023帰国)
図の斜線部分の図形を直線ABのまわりに1回転してできる立体の体積は、▢㎤です。
青の直角二等辺三角形(底辺4㎝、高さ4㎝)を回転してできる円すいの体積を①とする。
するとこれと相似な赤の直角二等辺三角形を回してできる大きな円すいの体積は⑧。
そして求める立体の体積は下半分を2倍した形だから
(⑧-①)×2=⑭
となり全体は半径6㎝、高さ6㎝の円すいの体積①を14倍したものとなっている。よって
6×6×3.14×6÷3×14=36×28×3.14=3165.12㎤
その3(早稲田中2023)
1辺が5cmの正方形が2つあり、たてとよこをそれぞれ等分割して「早」と「田」の字を書きました。色の塗られた部分を図のように太線を軸にして1回転させた立体について、「早」のつくる立体の体積は「田」のつくる立体の体積の何倍ですか。
「田」の字に注目すると21コの小さい正方形(1辺が1㎝)からできている。
いちばん軸に近い方から1列目、3列目、…、5列目とよぶこととし、1列目にある正方形1つを回したときの体積を1とすると、それぞれの正方形を回したときの体積をバラバラに考えると次のようになる。
とすると「田」を回したときの立体の体積は
- 1列目…1×5=5
- 2列目…3×3=9
- 3列目…5×5=25
- 4列目…7×3=21
- 5列目…9×5=45
より 5+9+25+21+45=105…❶
同じように「早」についてもみていくと1列目にある正方形1つを回したときの体積は⅝となっているからそれぞれの正方形を回したときの体積は次のようになる。
- 1列目…⅝×1×6=⅝×6
- 2列目…⅝×3×4=⅝×12
- 3列目…⅝×5×6=⅝×30
- 4列目…⅝×7×4=⅝×28
- 5列目…⅝×9×6=⅝×54
とすると「早」を回したときの立体の体積は
⅝×(6+12+30+28+54)=⅝×130…❷
よって「「早」のつくる立体の体積は「田」のつくる立体の体積の何倍」かを求めたいので ❷÷❶ をすると
⅝×130÷105=⅝ײ⁶⁄₂₁=⁶⁵⁄₈₄倍