センターラインの公式⑤ | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

「センターラインの公式」が使える出題例の第5弾です。

 

  その1(近畿大学附属2023)

 

図のように、1辺5cmの正五角形の外側を、辺にそって半径2cmの円が1周します。このとき、円の中心が動いたあとの長さは▢cmで、円が通ったあとの図形の面積は▢㎠です。ただし、円周率は3.14とします。

 

右矢印円の中心が動いたあと」(センターライン)を考えると次のように①青の直線部分と②赤の弧(ア~オ)の部分とでできている。

円の中心が動いたあとの長さ

それぞれ長さを求めると

  1. 青の直線部分…「1辺5cmの正五角形」だからそのまま 5×5=25㎝
  2. 赤の弧ア~オ…すべて中心角72°の弧だから 72×5=360° でちょうど「半径2cmの円」の1周分となり 2×2×3.14=12.56㎝
よってセンターラインの長さは
 25+12.56=37.56㎝

 

円が通ったあとの図形の面積

下図の黄色部分を求めることとなる。

円が通ったあとの図形の面積は原則として「センターラインの長さ×直径」で求められるから黄色部分の面積は 37.56×4=150.24㎠(なお円が2回通る部分がもしあればそのうち1回分を引いて修正する必要があるがそのような部分はない)

よって 150.24㎠

 

 

  その2(江戸川女子2023)

 

半径1cmの円と、縦9cm、横14cmの長方形があります。図のように、円の中心が長方形の辺上を1周するとき、円が通過した部分の面積は▢㎠です。ただし、円周率は3.14とします。

 

右矢印 この長方形をセンターラインとして円が動くときに通過する部分(下図の黄色部分)の面積を求めることとなる。

  1. このセンターラインの長さは 14×2+9×2=46㎝
  2. 円が通ったあとの面積は原則として「センターラインの長さ×直径」で求められるから黄色部分の面積は 46×2=92㎠…① となるのが原則
  3. ただし円が2回通る部分があればそのうち1回分を引いて修正する必要があるが、下図の黒の部分が2回通る部分となっている。
    この黒の部分の面積は(4つ合わせるとこの円がちょうど入る正方形からこの円を引いた残りの面積に等しいから)
     2×2-1×1×3.14=0.86㎠…②
よって円が通過した部分の面積は ①-② より
  92-0.86=91.14㎠ 
 
 

  その3(豊島岡2023第3回)

 

下の図において、直線ABと直線BCの長さはどちらも8cmで、角ABCの大きさは90°です。また、直線ADと直線DCの長さはどちらも12cmです。
半径2cmの円が、色のついた図形の外側を辺に沿って、転がって1周するとき、この円が通過する部分の面積は何㎠ですか。


 

 

右矢印 まずセンターラインを考えると下図の①青の直線と②赤の弧ア~エを合わせたもの。

その長さは

  • 青の直線…12×2+6×2=36㎝
  • 赤の弧…ア・イ・ウを合わせるとちょうど「半径2cmの円」の1周分となる。エは円の¼周分だからあわせて円の1¼周分となり 2×2×3.14×1¼=15.7㎝
だからセンターラインの長さは 36+15.7=51.7㎝

 

そして円が通ったあとの面積は原則として「センターラインの長さ×直径」で求められるから

 51.7×4=206.8㎠…①

 
ただし円が2回通る部分があればその1回分を引いて修正する必要あるが、下図の赤の部分がその2回通る部分。
 
この面積は(この円がちょうど入る正方形からこの円を引いた残りの面積の¼だから)
 (4×4-2×2×3.14)×¼=(16-12.56)÷4=0.86㎠…②
 
よって ①-② より
 206.8-0.86=205.94㎠ 完了