数の性質2023⑦ | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

数の性質からの今年の出題例の第7弾です。

 

  かけると答えが整数となる分数①(穎明館2023帰国)

 

⁸⁄₂₁をかけても、²⁰⁄₄₉をかけても、答えが整数となるような分数のうち、もっとも小さい分数は▢です。

 

右矢印 頻出問題。分数をもっとも小さくするにはかける分数の分母をできるだけ大きくし、分子をできるだけ小さくすること。

 

そして「答えが整数となる」のが条件だから

  • できるだけ大きい分母…8と20の最大公約数で4
  • できるだけ小さい分子…21と49の最小公倍数で147

よってもっとも小さい分数は ¹⁴⁷⁄₄ 

 

 

  かけると答えが整数となる分数②(世田谷学園2023第3次)

 

ある分数に³⁸⁄₄₅をかけても、2.09をかけても、答えは0より大きい整数になります。このような分数のうち、もっとも小さいものは▢です。

 

右矢印 まずは2.09=²⁰⁹⁄₁₀₀と分数に直す。

あとは³⁸⁄₄₅と²⁰⁹⁄₁₀₀について同じようにかける分数の分母をできるだけ大きくし、分子をできるだけ小さくすることを考えると

  • できるだけ大きい分母…38と209の最大公約数は19(*少し見つけにくいが38=2×19と素因数分解できることはすぐにわかるので209も19を約数に持つのではと想像できる)
  • できるだけ小さい分子…45と100の最小公倍数は900

よってもっとも小さい分数は ⁹⁰⁰⁄₁₉ 

 

 

  ▢等分したときのめもり(ラ・サール中2023)

 

数直線上に2点A、Bがあり、それぞれのめもりは、⅐、4です。ABを2等分する点をC、3等分する点をAに近い方からD、Eとし、この後同様にして4等分する点、5等分する点、…を順に作ります。
(ア) 点Eのめもりを求めなさい。

 

右矢印 わかりやすく7倍した線分図で考える(最後に7で割る)

 

このときAは1、Bは28。AB間は長さ27

EはABを「3等分する点」のうちBに近い方だから 27÷3=9 より E=28-9=19

よって点Eのめもりは 19÷7=¹⁹⁄₇

 

(イ) このようにして作っためもりの中に初めて1が現れるのは何等分したときですか

 

右矢印 同じく7倍した線分図で考える。

するとA=1、B=28のときにP=7となるような点P(最後に7で割ると1になる)を考えればよい

 

このときAP=6、PB=21だから AP:PB=6:21=2:7

よってPはAB間を2+7=9等分したときのAに近い方から2番目の点だから 9等分したとき

 

 

  倍数の個数(青陵2023)

 

下の図のように1から70までの白色の番号が1つずつ書かれた紙が3枚あります。1枚ごとに次の3つの操作を行います。

操作A : 2の倍数の番号を赤色でぬる。
操作B:3の倍数の番号を青色でぬる。
操作C : 3の数字または7の数字が入っている番号を緑色でぬる。

ただし、色をぬることができるのは白色の番号のみで、1つの操作をすべて終えてから次の操作を行います。このとき、次の問いに答えなさい。
⑴ 1枚目の紙に操作をA、B、Cの順で行ったとき、青色でぬられている番号は全部で何個ありますか。

 

右矢印 A(赤)→B(青)の順にぬるから青でぬられるのは3の倍数のうち2の倍数でない番号。これを調べると

  1. 番号は「1から70まで」の70コだから3の倍数は 70÷3=23コ
  2. このうち2の倍数でもあるのは(2と3の公倍数である)6の倍数だから 70÷6=11コ

よって青色でぬられている番号は 23-11=12個

⑵ 2枚目の紙に操作をC、A、Bの順で行ったとき、白色のままの番号は全部で何個ありますか。

 

右矢印 最後に残る「白色のままの番号」はA、B、Cをどんな順番で行っても変わらない

そこで小問⑴の結果を利用するためA→B→Cの順で行ったとして考える

 

2の倍数でも3の倍数でもないもの23コのうち3または7が入っているものを調べていく

  • 一の位が3…13、23、43、53
  • 一の位が7…7、17、37、47、67
  • 十の位が3…31、35(37は上で数えた)
  • 十の位が7…なし

とぜんぶで11コありこれらが緑でぬられることとなる(A→B→Cの順で操作を行った場合。問題文にあるC→A→Bの順で行うと緑でぬられる数はもっと多くなる)

よって白色のままの番号は 23-11=12個

 

⑶ 3枚目の紙に操作をある順で行ったとき、33番が緑色、54番が青色でぬられていました。このとき、赤色でぬられている番号は全部で何個ありますか。

 

右矢印33番が緑色、54番が青色」の意味を考えると

  • 33は操作B(3の倍数)と操作C(3または7)の対象だが「33番が緑色」ということは操作Cのあとに操作Bが行われたということ
  • 54は操作A(2の倍数)と操作C(3または7)の対象だが「54番が青色」ということは操作Bのあとに操作Aが行われたということ。

とするとC→B→Aの順に操作が行われたことがわかる。

そこでベン図を見るとB→Aの操作だと24コが赤でぬられるから、これがC→B→Aの操作だとこの24コのうち3または7が入っている番号を取りのぞいたものが赤でぬられることとなる。

 

これを調べると次のように24コのうち4コに3または7が入っている(*2の倍数なので一の位に3または7がくることはないと気づけば30番台と70だけ調べるだけですむ)

 2,4,8,10,14,16,20,22,

 26,28,323438,40,44,46,

 50,52,56,58,62,64,68,70

よって 24-4=20個 完了