立体くりぬき④ | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

 

立体くりぬきの分野からの出題例の第4弾です。

 

  体積①(神戸海星女子2023)

 

右の図のように、1辺の長さが2cmの立方体から、その向かい合う3組の面の真ん中を通るように、1辺の長さが1cmの正方形を底面とする四角柱をくりぬいた立体があります。この立体の体積は▢㎤です。

 

右矢印 くりぬいた立体の形を考えると

 

❶まず真ん中は立方体でその面は「1辺の長さが1cmの正方形」なので体積は1×1×1=1㎤

 

❷そして❶の立方体のまわりには同じ直方体が6つありその体積の合計は 1×1×0.5×6=3㎤

よって、はじめにあった「1辺の長さが2cmの立方体」の体積が2×2×2=8㎤だから、ここから❶と❷を引いて

 8-1-3=4㎤ 

 

 

  体積②(山脇2023算数)

 

図1のように、1辺12cmの立方体から円、三角形、四角形の形を各面に垂直に反対側までくりぬいて、立体をつくります。できた立体をそれぞれの方向から見ると、図2のようになりました。この立体の体積は何㎤ですか。ただし、円周率は3.14とします。

 

右矢印 いちばん大きい正方形(直方体)だけくりぬいた立体をまず考えて、あとから円(円柱)と三角(三角柱)をくりぬくと考える

正方形だけくりぬいた立体の体積

真正面から見た図」の面を底面と考えると底面積は

 12×12-4×4=144-16=128㎠

高さ12㎝だからその体積は 128×12=1536㎤

❷くりぬいた円柱のうち❶と重ならない部分の体積

真横から見た図」にある円を底面とする高さ4㎝の円柱2コがあとからくりぬかれる。その体積は

 2×2×3.14×高さ4㎝×2コ=100.48㎤

❸くりぬいた三角柱のうち❶と重ならない部分の体積

真上から見た図」にある三角を底面とする高さ4㎝の三角柱2コがあとからくりぬかれる。その体積は

 4×4÷2×高さ4㎝×2コ=64㎤

 

よって❶-❷-❸より

 1536-100.48-64=1371.52㎤

 

 

  表面積(神戸女学院2023)

 

たて8cm、横7cm、高さ9cmの直方体から、図のように斜線をつけた円と直角三角形と長方形を、それぞれ直方体の反対の面までまっすぐくりぬきます。円の直径は3cmです。また、円周率は3.14とします。

⑴ くりぬいた後の立体の体積を求めなさい。

 

右矢印 いちばん大きい正方形(直方体)だけくりぬいた立体をまず考えて、あとから円(円柱)と三角(三角柱)をくりぬくと考える

正方形だけくりぬいた立体の体積

右の面を底面と考えると底面積は

 8×9-4×5=72-20=52㎠

高さ7㎝だからその体積は 52×7=364㎤

❷くりぬいた円柱のうち❶と重ならない部分の体積

正面にある円を底面とする高さ2㎝の円柱2コがあとからくりぬかれる。「円の直径は3cm」だからその体積は

 1.5×1.5×3.14×高さ2㎝×2コ=28.26㎤

❸くりぬいた三角柱のうち❶と重ならない部分の体積

上面にある三角を底面とする高さ2㎝の三角柱2コがあとからくりぬかれる。三角形は3㎝、4㎝、5㎝の直角三角形だからその体積は

 3×4÷2×高さ2㎝×2コ=24㎤

 

よって❶-❷-❸より

 364-28.26-24=311.74㎤

 

⑵ くりぬいた後の立体の表面積を求めなさい。

右矢印 同じようにいちばん大きい正方形(直方体)だけくりぬいた立体をまず考えて、あとから円(円柱)と三角(三角柱)をくりぬくと考える

 

正方形だけくりぬいた立体の表面積

 外側… (8×9-4×5)×2+7×9×2+7×8×2=(52+63+56)×2=342㎠

 内側…4×7×2+5×7×2=(4+5)×14=126㎠

よって342+126=468㎠

❷円のくりぬきで変わる表面積

①ふえる分…正面にある円を底面とする高さ2㎝の円柱の側面積2つ分がふえるから

 3×3.14×高さ2㎝×2=37.68㎤

②へる分…円柱2つの上下の底面積(円4コ分の面積)がへるから

 1.5×1.5×3.14×4=28.26㎠

❸三角形のくりぬきで変わる表面積

①ふえる分…上面にある三角を底面とする高さ2㎝の三角柱の側面積2つ分がふえるから

 (3+4+5)×高さ2㎝×2=48㎠

②へる分…三角柱2つの上下の底面積(三角形4コ分の面積)がへるから

 3×4÷2×4=24㎠

 

よって❶❷❸より 468+37.68-28.26+48-24=501.42㎠ 完了