売買損益2023② | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

 

売買損益がからんだ2023年出題例の第2弾です。

 

  その1(雙葉中2023)

 

商品A、B、Cがあります。
⑴ 1日目は、Aのみ48個仕入れました。すべて売ったときの売り上げの目標金額を決めました。仕入れ値の3割の利益を見込んだ売り値ですべて売ると、その売り上げは目標金額より2156円高くなり、仕入れ値の16%の利益を見込んだ売り値ですべて売ると、目標金額より1540円低くなります。Aの仕入れ値は1個何円ですか。また、目標金額は何円ですか。

 

右矢印 仕入れ値を100とすると、「仕入れ値の3割の利益を見込んだ売り値」は130、「仕入れ値の16%の利益を見込んだ売り値」は116。この差14が売り上げの差3696円(=2156+1540)だから

 1=3696÷14=264円

 

よって1個あたりの仕入れ値は

 264×100÷48=550円

目標金額は 264×130-2156=32164円

 

⑵ 2日目は、A、B、Cをあわせて16個仕入れました。Aは仕入れ値の2割の利益を見込んだ売り値をつけ、Bは1個754円、Cは1個315円ですべて売りました。売り上げは10026円でした。A、B、Cはそれぞれ何個ずつ仕入れましたか。ただし、どの商品も1個は仕入れました。1日目と2日目のAの仕入れ値は同じです。

 

右差し「A、B、Cをあわせて16個仕入れ」てこれをすべて売ったら「売り上げは10026円」だったとき「A、B、Cはそれぞれ何個ずつ仕入れ」たかという問いなので(売買損益の問題というより)芋づる算の問題となっています。

 

右矢印 まずAの売り値を確認する。「1日目と2日目のAの仕入れ値は同じ」だからAの仕入れ値は550円(小問⑴より)。これに「仕入れ値の2割の利益を見込んだ売り値をつけ」たからAの売り値は660円(=550×1.2)

 

あとは「売り上げは10026円」となるようなA、B、Cの個数をさがしていく。「どの商品も1個は仕入れ」たのでまずこれを全体から引いておくと

 10026-(660+754+315)=8297円

こうして「A、B、Cあわせて13コ売ったら売り上げは8297円だった」というように問題文をいったん読みかえる。

 

A、B、Cの仕入れ個数をそれぞれA個、B個、C個(0個でもよい)として次の2つの式をみたすA、B、Cをさがしていく。

 660×A+754×B+315×C=8297…①

 A+B+C=13…②

 

ここで①の右辺の一の位「7」に注目すると(「660×A」の一の位は0だから)「754×B+315×C」の一の位は7になる。それには「754×B」の一の位が2、「315×C」の一の位が5であることが必要。こうしてBは3か8(4×3=12か4×8=32)のどちらかだと決まり(Bが13以上でないのは①より明らか)Bで場合分けをして考えると

 

B=3のとき

①より 660×A+2262+315×C=8297  

660×A+315×C=6035 より 132×A+63×C=1207…①’ 

また②より A+C=10。両辺を63倍すると 63×A+63×C=630…②’

①’-②’より 69×A=577 となるがこれをみたす整数Aはなく条件にあわない

B=8のとき

①より 660×A+6032+315×C=8297

660×A+315×C=2265 より 132×A+63×C=453…①’

また②より A+C=5。両辺を63倍すると 63×A+63×C=315…②’

①’-②’より 69×A=138 なので A=2 と整数になる。このときC=3

 

よって、最初にはずした1個ずつを忘れずもどして Aは3個、Bは9個、Cは4個

 

 

  その2(東大寺学園2023)

 

ある商品を140個仕入れ、仕入れ値の40%の利益を見込んで定価をつけました。そのうち100個を定価で売りましたが、残りを定価の何%か値下げして売ったところ、すべての商品を売ることができました。利益の合計が仕入れ値の合計の30%であったとすれば、定価の何%の値下げをしたのでしょうか。

 

右矢印 「利益の合計が仕入れ値の合計の30%であった」ということは「利益の平均値は30%だった」ということなので、利益についての平均算として天びん図を考える。

  1. 仕入れ値の40%の利益を見込んで定価をつけ」た商品「100個を定価で」売った。この利益40%を天びんの右はしの目盛りとし、個数100を右のおもりとする
  2. 一方「商品を140個仕入れ」たから残り40個。この個数40を天びんの左のおもりとし、この利益□%を左はしの目盛りとする
  3. 利益の平均値は30%なので、この天びんは目盛り30%のところを支点としてつり合う

この天びん図より、左側の腕の長さは ⑩÷40×100=㉕ より、値下げした40個の利益は5%(=30-25)だったとわかる。

 

とすると値引き後の売値は仕入れ値の105%。定価は仕入れ値の140%だから、売値と定価を比べると

 105÷140=0.75 

より売値は定価の0.75倍だったとわかる。

よって 1-0.75=0.25 より定価の25%の値下げをした


 

  その3(洗足学園2023)

 

3日間の文化祭でのバザー企画でノートを販売することにしました。仕入れにかかるお金は生徒会から借り、バザー終了後に返金することになっています。ノートの売り値は、仕入れ値の2割の利益を見込んで決めました。利益はその日の売上からその日に売った冊数分の仕入れ値を引いたものとし、日ごとに集計して利益の全額を募金します。1日目は仕入れた冊数の8割が売れ、2日目は残った冊数の4割を新たに仕入れて、1日目の残りのノートと合わせて売ったところ75%が売れました。3日目はこれまでの残りのノートを売り値の1割引きですべて売り切りました。はじめの2日間の募金額の合計が12625円だとすると、3日目の募金額は何円ですか。なお、この問題は解答までの考え方を表す式や文章・図を書きなさい。

 

右矢印 はじめに仕入れたノートを100冊として問題文の情報を整理していくと

  1. 1日目は仕入れた冊数の8割が売れ」た→売れたのは80冊、残ったのは20冊
  2. 2日目は残った冊数の4割を新たに仕入れ」たから2日目に仕入れたのは8冊。前日の売れ残り20冊と合せると売り始めにはぜんぶで28冊あった。このうち「75%が売れ」た→売れたのは21冊、残ったのは7冊
  3. こうしてはじめの2日間で80+21=101冊売れた。そして「はじめの2日間の募金額の合計が12625円」だった。「利益の全額を募金」するから(募金額=利益の合計と考えてよいから)はじめの2日間の利益の合計は12625円→はじめの2日間のノート1冊あたり利益は125円だった
  4. ところで「ノートの売り値は、仕入れ値の2割の利益を見込んで」決めたから、売り値を1.2(このうち利益は0.2)とすると「3日目はこれまでの残りのノートを売り値の1割引きですべて」売ったから3日目の売り値は1.2×0.9=1.08(このうち利益は0.08)。このとき3日目の1冊あたり利益ははじめの2日間の1冊あたり利益の0.4倍(=0.08÷0.2)になっている→3日目のノート1冊あたり利益は50円(=125円×0.4)だった
  5. 3日目に売ったノートは2日目の売れ残りのぜんぶなので7冊。よって3日目の利益の合計は350円(=50×7)
以上より3日目の募金額は350円 完了