30分の勉強で大問5の10点アップをねらう(水そう問題⑥) | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

 

あと2週間から1か月でいよいよピークをむかえる中学入試ですが、連日過去問に取り組んでいるが思うように点数が伸びずに悩んでいるという受験生も少なくないことかと思います。

 

点数が低い算数の答案を見ると、後半の大問4、5、6あたりの問題(まとめて大問5という)で大きく落としているものが多いようです。大問5には「旅人算・流水算」「平面図形・立体図形」「水の深さと体積」「場合の数」「整数問題・条件整理」「ニュートン算ほか文章題」といった単元の難しめの問題がおかれますが、範囲があまりに広すぎて、いまから何をしたらここの得点アップがねらえるかというのは相当な難題です。

数ある単元のなか、いまから取り組んでも、30分だけ勉強すれば大問5の点数アップがねらえそうな(ワンチャン完答もねらえそうな)そんなおいしい単元はないかと問われたら、私は「水そう問題」(水の深さと体積の問題)だと考えています。

 
出題傾向として「水そう問題」を出さない学校もありますが、3校も受験すればうち1校は出してくるような人気単元なので、複数校受験するほとんどの受験生が1度は本番で解くことになるかと思います。
そしてたとえば「旅人算・流水算」だと問題のバリエーションが多すぎてこうすれば解けるというマニュアル的な対応を短期習得することはかなり困難である(どうしても分厚いマニュアルになってしまう)のに対し、「水そう問題」は手順がシンプルでその通りにやっていくと大体は解けてしまうという印象です。

次のような典型問題で対応の基本手順をしっかりマスター・再確認しておきたいところです。

 

図のように、直方体の形をした水そうがあり、底面に排水せんが取り付けてあります。また、底面に垂直に仕切り①、②がたてられています。
空の水そうに、排水せんを閉じた状態で仕切り①の左側に一定の割合で水を注いでいきます。グラフは、水を入れ始めてからの時間と仕切り①の左側の水面の高さの関係を示したものです。ただし、仕切りの厚さは考えないものとします。次の各問に答えなさい。(山脇学園2022)

 

右差し 問題を解く前の準備段階として、つぎの❶❷❸の作業を行う。

 

❶水そうを真横から見た「水そう図」に水が入る順番を書く

❷それぞれの番号がグラフと対応しているのを確認する。

❸水そう図の「底辺」部分は長さではなく底面積を書く

 

⑴ 水を毎秒何㎤の割合で注ぎましたか。

 

右矢印 グラフから読み取れるのは80秒で①と②がいっぱいになったということ。

また水そう図より、①と②の容積の合計は160×10+160×10=3200㎤

よって 3200÷80=40 より毎秒40㎤

 

右差し ❹毎秒の給水量がわかったら、①から⑤の場所がいっぱいになる時間の情報を書き足す

 

⑵ グラフのにあてはまる数はいくつですか。

右矢印は④がいっぱいになるところなので、

  40秒+40秒+40秒+60秒=180秒

は⑤がいっぱいになるところなので 

 180秒+60秒=240秒

 

⑶ 水そうがいっぱいに満たされている状態で水を注ぐことを止めて、排水せんを開きました。排水されなくなるまでに1分10秒かかりました。排水せんからは、毎秒何㎤の割合で水が流れましたか。

 

右矢印 排水せんを開いても水そうに残る部分は次のとおり(青のところ)。

この残った水の体積は 160×10+160×15=4000㎤。

水そうがいっぱいに満たされている状態」のときにあった水の体積は(160+160+160)×20=9600㎤ なので、排水された水の量は9600-4000=5600㎤

 

この排水に「1分10秒」=70秒かかったから、5600÷70=毎秒80㎤ 完了