図のない図形問題 | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事に関連する話です。

 

水そう問題で水そうの見取図やグラフがついていないと難しさが倍増するという話でしたが、長文なのにグラフがない旅人算や流水算の問題、ややこしい時計算なのに時計の絵のないものなども近年ふえてきています。

図形の分野も例外ではなく、文章だけの図形問題で作図する能力も含めて問うものが見られるようになってきています。たとえば次の問題。

 

辺ABが8㎝、辺ACが6㎝、角BACの大きさが90°の直角三角形ABCがあります。辺AC上に点DをAD : DC=1:2となるようにとり、辺BC上に2点E、FをBE : EF : FC=1:1:1となるようにとります。また、辺ABの中点をGとし、直線BDとEGの交点をH、直線BDとAFの交点をIとします。次の問いに答えなさい。(広尾学園2020)

⑴ 次の(例)を参考に、解答らんにある直角三角形ABCに点D、E、F、G、H、Iをかきなさい。ただし、線は定規を使わずに引き、線の長さや点の位置は目分量で構いません。これらの点をかくために必要な線や比は消さずに残しておいてください。

​​​​​(例)正三角形ABCの辺AB上にAD : DB=3 : 5となる点Dをとり、直線CD上にCE : ED = 3 :1となる点Eをとります。右の図は、正三角形ABCに点D、Eをかいた図です。
​​​

解答らん

 

右差し (例)として図がついていますが、実際のものとは向きも形もまったく違うため逆にまぎらわしくなっており、これに引きずられることなく作図からはじめる必要のある問題です。

 

右矢印 (例)を参考に、次の条件にしたがって作図する。

  • 辺AC上に点DをAD : DC=1:2となるように」とる
  • 辺BC上に2点E、FをBE : EF : FC=1:1:1となるように」とる
  • 辺ABの中点をGとし、直線BDとEGの交点をH、直線BDとAFの交点をIと」する
すると次のような図形となる。
 
と簡単に書きましたが、実際には定規も使ってはいけないこととなっており、枠線はあっても小学生が手書きで書く図なので、もっとふにゃふにゃした図になっている可能性があります。

 

⑵ 三角形ABFの面積を求めなさい。また、四角形AGHIの面積を求めなさい。求める過程もかきなさい。

 

右差し 手書きの図を見て、たとえば△ABFも直角三角形だと勘違いしたり、EGとFAが平行だと気づかなかったり、逆にBC=10㎝だと気づかなくてもいいところに気づいたりなど、混乱した受験生も多かったはずで、実際以上に手ごわい問題だったのではと思われます。

 

  三角形ABFの面積

 

△ABFの大きさは、辺の比と面積比の関係より、△ABCの⅔倍。

よって、△ABCは「辺ABが8㎝、辺ACが6㎝、角BACの大きさが90°」だから、その面積は

 8×6÷2×⅔=16㎠

 

  四角形AGHIの面積

 

Fから辺CAと平行に、DBとぶつかるところ(F’とする)まで補助線を引くと、BC:BF=3:2より、FF'=。ここから△FIF'と△AIDは相似比⁴⁄₃:1=4:3の相似形だとわかるから

 FI:IA=4:3 より △ABI=△ABF׳⁄₇…①

またBE=EF、BG=GAより、HGとIAは平行だから、△ABIと△GBHは相似比2:1の相似形。

となると 四角形AGHI=△ABI×¾…②

 

よって、①②より、四角形AGHI=△ABF׳⁄₇×¾=16׳⁄₇×¾=³⁶⁄₇㎠ 完了