天びん図で差がつく食塩水② | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

 

天びん図を使って差をつけたい問題として、ほかにも次のようなものがあります。

 

 

  はじめの濃さがわからない問題(八雲学園2022第2回)

 

濃度がわからない食塩水AとBがあります。A100gとB100gを混ぜ合わせると5%の食塩水ができ、A300gとB100gを混ぜ合わせると4%の食塩水ができます。このとき、食塩水Aの濃度は何%ですか。

 

右矢印 「A100gとB100g」のとき、重さの比は1:1なので、腕の長さの比はその逆比で1:1。「A300gとB100g」のとき、重さの比は3:1なので、腕の長さの比はその逆比で1:3。

この2つを腕の長さ4⃣で比合わせして、それぞれ天びん図にすると次のとおり。

2つの天びんの支点の開き1⃣が1%に当たるから、食塩水Aの濃度は3%

 

 

  混ぜたら同じ濃度になる問題(須磨学園2020第2回)

 

容器Aには8%の食塩水200g、容器Bには12%の食塩水40gが入っています。8%より小さいある濃度の食塩水を容器A、Bに同量ずつ入れたところ、容器A、Bの濃度はともに▢%になりました。

 

右矢印 容器Aと容器Bの様子を天びん図にする。

いずれも支点の左側は「ある濃度の食塩水」〇gが入っているという同じ条件なので、右側どうしで釣り合うはず。

となるとAとBの重さの比は200:40=5:1より、支点からの腕の長さはその逆比で1⃣:5⃣。

この差4⃣が4%なので1⃣=1%。

よって▢=7%


 

  混ぜ方を間違える問題(広尾学園2020)

 

次の問いに答えなさい。
⑴ 5%の食塩水が200g入っている容器Aと10%の食塩水が300g入っている容器Bがあります。それぞれの容器から同じ量ずつ取り出して移しかえたところ、容器Aの食塩水の濃度が6%になりました。何gずつ取り出したか求めなさい。

 

右矢印 容器Aのなかの様子を天びん図にすると次の通り。

腕の長さが1:4なので重さはその逆比の4⃣:1⃣。

この和5⃣が200gに当たるから、Bから取り出した量1⃣は 40g

 

⑵ 5%の食塩水が200g入っている容器Aと10%の食塩水が300g入っている容器Bがあります。それぞれに15%の食塩水を100gずつ入れて、それぞれの容器から同じ量ずつ取り出して移しかえたところ、容器Aと容器Bが同じ濃度になりました。同じになったときの濃度を求めなさい。

 

右矢印 「容器Aと容器Bが同じ濃度に」なったときの濃度を求めるだけだから、全部を1つの容器に入れたとしたときの濃度を求めればいい。

 ぜんぶの食塩水の量…200g+300g+100g×2=700g

 ぜんぶの食塩の量…200g×5%+300g×10%+100g×15%×2=70g

よって 70÷700=0.1 より 10%

 

⑶ 5%の食塩水が200g入っている容器Aがあります。容器Aに10%の食塩水と15%の食塩水をそれぞれの量が1:2となるようにして混ぜる予定でしたが、あやまって2:1となるようにして混ぜてしまいました。その結果、混ぜた容器Aの食塩水の濃度は予定より1%低くなってしまいました。実際に混ぜた10%と15%の食塩水の合計は、予定と同じ量であったとして、作られた食塩水の濃度を求めなさい。

 

右矢印 10%の食塩水と15%の食塩水を1:2で混ぜたもの(「正しい食塩水」)と、2:1で混ぜたもの(「実際の食塩水」)を天びん図にしてみる。

すると正しい混ぜ方だと13⅓%になっていたはずだが、実際は11⅔%になったことがわかる。

つぎに「5%の食塩水が200g入っている容器A」のなかに正しい食塩水③gを入れたときと、実際の食塩水③gを入れたときの様子を天びん図にすると次の通り。

天びん1の腕の長さは8⅓(=13⅓-5)、天びん2の腕の長さは6⅔(=11⅔-5)。

その比に注目すると8⅓:6⅔=25:20=5:4

とすると天びん1の支点から左側の長さを5⃣、天びん2の左側を4⃣とすると、この差1⃣が1%(「予定より1%低くなって」)だから、天びん2の左端から支点まで4%

 

よって「作られた食塩水の濃度」は(天びん2の方なので)5%+4%=9% 完了