かけ算の九九の表が題材にされることがあります。
小学2年のときに習ってからはじっくり見る機会はほとんどなかったはずですが、あらためてこれを見ると算数的にはいろいろおもしろい材料がつまっており、今後も入試問題で取り上げられる可能性は十分ありそうです。
出題例としてたとえば次のようなものがあります。
九九の表①(樟蔭2022B)
⑴ ▢にあてはまる数を答えなさい。
(14+21+28)+(16+24+32)+(18+27+36)=24×▢
カッコ内は左から7の段、8の段、9の段の九九の一部になっている。この式を分配法則を使って変形すると
(7×2+7×3+7×4)+(8×2+8×3+8×4)+(9×2+9×3+9×4)=7×(2+3+4)+8×(2+3+4)+9×(2+3+4)=7×9+8×9+9×9=(7+8+9)×9=24×9
⑵ 下の図1は九九の表です。この表から、となり合うたて3マス、横3マスの計9マスを取り出すと、図2のようになりました。この9マスに書かれた数の合計はいくらですか。ただし、合計にちがうものがある場合、それらをすベて答えなさい。
24は九九の表に3×8、4×6、6×4、8×3の4回出てくる。
このうち8×3=24が真ん中の9マスは小問⑴で見たようにその合計は24×9
同じように、6×4=24が真ん中の9マスについて考えてもやはり
(15+20+25)+(18+24+30)+(21+24+27)=24×9
となる。4×6=24、3×8=24が真ん中の9マスでも同じ。
よって合計は必ず 24×9=216 となる。
⑶ ⑵と同じように、25マスを取り出すと、図3のようになりました。この25マスに書かれた数の合計はいくらですか。ただし、合計にちがうものがある場合、それらをすべて答えなさい。
24を真ん中とする9マスを取り出すとき、真ん中の数字24が9つある数字の平均値となることが小問⑵でわかった。となると24を真ん中とする25マスを取り出すときでも、真ん中の数字24が25コある数字の平均値となることが予想できる。
実際に、たとえば6×4=24が真ん中のものを考えると、
4×2から4×6までは4×4=16を平均値とする5コ
5×2から5×6までは5×4=20を平均値とする5コ
6×2から6×6までは6×4=24を平均値とする5コ
7×2から7×6までは7×4=28を平均値とする5コ
8×2から8×6までは8×4=32を平均値とする5コ
なので(16、20、24、28、32とタテに見ていくと)これらの合計25コは必ず真ん中の数字24が平均値となるのがわかる。
よって合計は必ず 24×25=600 となる。
九九の表②(慶應義塾中等部2017)
図のようなかけ算九九の表の中で、横に隣り合う3つの数を四角の箱で囲むとき、枠で囲まれた3つの数の和について考えます。例えば、図の四角の枠の場合は、3つの数の和は36+42+48=126です。ただし、かける数、かけられる数は枠では囲みません。次の▢に適当な数を入れなさい。
⑴ 和が24以下になる四角の枠は全部で▢個です。
九九の表で「横に隣り合う3つの数」の和はいつも真ん中の数の3倍になる。
となると「和が24以下になる」のは真ん中の数が8以下になるとき。
これをみたす枠は、かけられる数1の行(×1の行)に7コ、×2の行に3コ、×3の行に1コ、×4の行に1コあるので、全部で12個
⑵ 和が15でも27でも割り切れない四角の枠は全部で▢個です。
「和が15でも27でも割り切れない四角の枠」の個数を求めるには、和が15か27で割り切れる四角の枠の個数をまず出し、これをぜんぶの四角の枠の個数から引くのが早そう。
小問⑴と同じように真ん中の数字に注目する。
①和が15の倍数…真ん中が5の倍数のところをさがすと、×5の行に7コ、それ以外の8行に各1コの計15コある。
②和が27の倍数…真ん中が9の倍数のところをさがすと、×3の行に2コ、×5の行に2コ、×9の行に7コの計11コある。
ただし①と重なるところが×9の行に1コある(真ん中が45のもの)から、和が15か27で割り切れる四角の枠の個数はぜんぶで15+11-1=25コ
四角の枠はぜんぶで63コ(1行に7コ×9行)あるから、「和が15でも27でも割り切れない四角の枠」の数は63-25=38個