以前の記事の続きです。
このような約数の個数がポイントになるカード問題はそこそこ出題されています。これに対応するには約数の個数についての基本知識が欠かせないため、今回は約数の個数をテーマにした入試問題を取り上げます。
約数の個数(西武学園文理中2021)
72の約数の個数を求めなさい。
まずは一番の基本である約数の個数を求める手順を確認しておくと
①素因数分解する
②素数ごとにまとめてそれぞれ何個あるかかぞえる
③その個数に1を足した数を素数ごとにつくりこれをかけ合わせる
というものになります。
72をすだれ算で素因数分解すると
72=2×2×2×3×3
つまり72は「×2」が3コと「×3」が2コ(と見えない「×1」)とからできている。これらをどう組み合わせるか、その組合せの個数がそのまま約数の個数になる。
まず3コの「×2」の使い方を考えると、1コ使う、2コ使う、3コ使う、使わないの4通りある。また2コの「×3」が使い方は、1コ使う、2コ使う、使わないの3通りある。
よって、4×3(つまり下の表の赤枠の数)を計算すると 12個
約数の個数②(城西中2020)
100の約数は全部で▢個あります。
100=2×2×5×5 より (2+1)×(2+1)=9個
なお、この約数9コを具体的に求める必要があるときは、数えもれがないように、次のような表を使ってペアで書き出していく(1×100、2×50、4×25、5×20、10×10のかけ算を上下に)方法がよく使われます。
約数の個数③(横須賀学院2022第2次)
480の約数のうち、32の倍数である整数は全部で▢個あります。
480=32×15より、15の約数の約数の個数を求めればよい。
よって 15=3×5なので 4個
約数の個数は次のような切り口で取り上げられることもあります。
立方数(明治学院中2021)
1から20までの整数の中に、約数の個数が4個である整数は▢個あります。
①まず異なる2コの素数の積であらわせるもの(2×3=6、3×5=15など)がこれにあてはまる((1+1)×(1+1)=4より)ほか
②もう一つのパターンとして、8=2×2×2 のように、同じ素数を3回かけてできる数(「立方数」とよばれる)でも、約数の個数は 3+1=4コ になります。
6、8、10、14、15の5個
受験生正答率55.8%(学校発表)の問題でした。
立方数②(高槻中2021)
0より大きい整数Aを3回かけあわせると、360の倍数になりました。この整数Aとして考えられるもののうち、2番目に小さいものは▢です。
360(=2×2×2×3×3×5)の倍数なので、整数Aは少なくとも「2×3×5」(=30)を約数にもつ立方数である。
そのような整数Aで一番小さいものは30×1=30、「2番目に小さいもの」は30×2=60
四乗数(夙川中2022)
1から100までの整数のうち、約数の個数がちょうど5個になるのは▢と▢です。
16=2×2×2×2のように、同じ素数を4回かけてできる数は「四乗数」「二重平方数」などとよばれます。四乗数の約数の個数は4+1=5コになります(約数の個数が5コになる整数は四乗数だけ)。
16と81
六乗数(桐光学園2021)
64の約数のうち、2けたの約数は▢個あります。
64は2×2×2×2×2×2とあらわせる「六乗数」(同じ素数を6回かけてできる数)の一つです。
「64の約数」は7コ。このうち「2けたの約数」は3個
楔数(くさびすう)(普連土2020算数)
2桁の整数のうち、2×3×5のように異なる3つの素数のかけ算で表すことができる整数は何個ありますか。ただし、素数とは、1とその数自身でしか割り切れない整数です。
2×3×5のように「異なる3つ素数のかけ算で表すことができる整数」にはちゃんと「楔数(くさびすう)」という名前がついており、やはり題材にされることがあります。
30、42、66、70、78の 5個