以前の記事に関連する話です。
天びんを使った問題は根強い人気があります。パターンはだいたい決まっていますので、時間をかけずに解けるように仕上げておきたいところです。
たとえば次のような問題です。
おもりの重さの大小①(恵泉女学園2022第2回)
①〜④の4つのおもりがあります。これらのおもりの中から2つずつ天びんにのせて荷物の重さをはかったところ、次の図のように4回目でつり合いました。
このとき、①〜④のおもりを重さの小さい順に左から並べなさい。
4回目の結果より「荷物」のある皿は「①と④」におきかえることができる。
まず1回目と4回目の結果より(AがBより重いときA>Bのように書くとすると)
「①と④」>「①と②」
この両方の皿から共通するおもり①を取りのぞいても重さの関係は変わらないから ④>②
同じように2回目と4回目の結果より ①>③、3回目と4回めの結果より ②>①
よって④>②>①>③となり、小さい順に左から並べると ③、①、②、④
おもりの重さの大小②(ドルトン東京2022)
ア〜オの5種類のおもりがあります。同じ文字が書かれたおもりの重さは等しいです。これらのおもりを組み合わせててんびんにのせると、図のような結果になりました。
このとき、最も重いおもりをア〜オから選び記号で答えなさい。
左上のてんびんから順に①②③④とする。
③よりウ>オ
①の右の皿と②の左の皿は同じだから、オ>ア
ここまでをまとめるとウ>オ>ア
ここで①より、アはイとウを足して2でわった重さで、ウはアより重いから、イはアより軽い。したがってウ>オ>ア>イ
また④より、エはアとイを足して2でわった重さ。となるとエはアとイの間に入る重さ。
よって、ウ>オ>ア>エ>イという重さ順となり、最も重いおもりはウ
おもりの重さの大小③(大妻多摩2021午後)
図のように、3つのおもり●、▲、■を天びんにのせたとき、天びんはつりあいました。このとき、●、▲、■の重さの比を求めなさい。
左の天びんを①、右の天びんを②とする。
天びん①(●×2=▲)より ●:▲=1:2
また①の両方の皿を3倍すると●×6=▲×3
となると天びん②(▲×3=●×3+■×2)は
●×6=●×3+■×2
とおきかえられ、この両方の皿から●×3コをとりのぞくと ●×3=■×2 よって ●:■=2:3
以上を比合わせしてまとめると(●:■=2:4より) ●:▲:■=2:4:3
場合の数(明治学院中2022第2回)
うわ皿てんぴんと、重さが1g、2g、5g、10gの分銅が1個ずつあります。次の問いに答えなさい。
⑴ 分銅を片方の皿にだけ乗せて重さを測るとき、何通りの重さを測ることができますか。
「1g、2g、5g、10gの分銅が1個ずつ」あるので、10gを使わない測り方が7通り(1g、2g、3g、5g、6g、7g、8g)、10gを使う測り方が8通り(10g、11g、12g、13g、15g、16g、17g、18g)ある。合計で15通り
1円玉が3枚、5円玉が3枚あるときの払い方(過去記事)と同じだと考えて
(3+1)×(3+1)-1=15
と計算で出すこともできます。
⑵ 分銅を片方だけでなく両方の皿に乗せて測ることも含めて考えるとき、何通りの重さを測ることができますか。
受験生の正答率をみると、小問⑴の34.9%に対し、小問⑵は4.7%とかなり低くなっています(学校発表)
小問⑴では作れなかった重さは4g、9g、14gの3つ。
「1g、2g、5g、10gの分銅が1個ずつ」あるのを「両方の皿に乗せて測る」ことでこの3つの重さが作れないかを考えると
- 4g…4g=5g-1gより、片方の皿に1g、反対側の皿に5gの分銅を乗せることで測れる
- 9g…9g=10g-1gより、同じように1gと10gの分銅で測れる
- 14g…14g=10g+5g-1gより、10gと5gを片方の皿に乗せ、1gを反対側の皿に乗せることで測れる
となり、これなら分銅の重さの合計18gまですべての重さが1gきざみで測れることとなり 18通り