天びん図や面積図を使わない食塩水④ | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

 

食塩水の問題で、天びん図や面積図を使わないタイプのものがあるという話をしてきました。やり取り図で対応するという話が中心でしたが、やり取りの内容がシンプルな場合にはスピードアップを図るためにも表を活用するのが効果的な場合もあります。

たとえば次の問題。

 

2つの容器A、Bがあり、容器Aには2%の食塩水が300g、容器Bには10.1%の食塩水が300g入っています。A、Bについて次の操作を4回行います。   

【操作】
容器Aから食塩水100g、容器Bから食塩水100gを同時に取り出した後、 Aから取り出した食塩水をBに、Bから取り出した食塩水をAに移し、それぞれの食塩水をよく混ぜる。

次の問いに答えなさい。(吉祥女子2022第2回)
⑴ この操作を1回行った後の容器Aの食塩水の濃さは何%ですか。

 

右差し やり取りの内容がシンプルなので表を書くことで済ませたい問題です。

その際に工夫できる点として、

 ①容器A、Bとも同じ量(300g)なので食塩の量だけを書く

 ②食塩全体の量は変わらない(36.3g)なので容器Aの食塩の出入りだけを書く

ようにします。

 

右矢印 まず「容器Aには2%の食塩水が300g」入っていたから、はじめにAに入っていた食塩は300g×2%=6.0g(表の「はじめ」の欄)

そして1つの操作で「容器Aから食塩水100g」を取り出すから、1回目の操作で取り出す食塩は100g×2%=2.0g(「出る」の欄)

 

逆にBから入ってくる食塩を考えると、まず「容器Bには10.1%の食塩水が300g」入っており、1つの操作で「容器Bから食塩水100g」を取り出すから、1回目の操作で入ってくるのは 100g×10.1%=10.1g(「入る」の欄)

 

よって1回目の操作のあとの食塩は6.0-2.0+10.1=14.1g(「おわり」の欄)

この濃さは 14.1÷300=0.047 より 4.7%

 

なお、全体の食塩の合計はいつも変わらず36.3g(赤の欄)なので、容器Bのなかの食塩は22.2g(黄の欄)と自動的に決まる。

 

 

⑵ この操作を2回行った後の容器Aの食塩水の濃さは何%ですか。

 

右矢印 2回目のやり取りを表に追加する。

1回目の操作がおわったときの食塩の量14.1gがそのまま2回目のはじめの量となり、この⅓が出ていき、Bの⅓が入ってくるから、2回目の操作で 14.1-4.7+7.4=16.8g になる。

この濃さは 16.8÷300=0.056 より 5.6%

 

 

⑶ この操作を4回行った後の容器Bの食塩水の濃さは何%ですか。

 

右矢印 同じように3回目と4回目のやり取りを表に追加する。

すると4回目の操作がおわったとき、Aの食塩の量は18.0g、Bの食塩の量は18.3gとなるのがわかる。

この濃さは 18.3÷300=0.061より 6.1% 完了