点の移動③ | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

 

点の移動の問題でグラフがついている場合、このグラフをいかに上手に活用するかがポイントとなります。グラフを見れば点が何回交わるのか、面積が最大になるのはどのあたりかといった点が簡単にイメージできるし、さらに三角形の相似を利用すればそれが具体的にどこの時点か、面積はいくらかなど計算で出すことも可能になります。

たとえば次の問題。

 

[図Ⅰ]のような長方形ABCDの辺AD上にAE=EDとなるように点Eをとった図形があります。辺ADの長さは14㎝です。この図形上を2点P、Qが同時に動き始め、点PはBから毎秒2㎝でB→E→Cと移動します。点QはBから毎秒10㎝でB→E→C→E→B→E…と移動し、点Pが点Cに達するまでこの動きをくり返します。
2点P、Qが動き始めてからの時間と3点B、C、Pを頂点とする三角形の面積、3点A、B、Qを頂点とする三角形の面積の関係をグラフで表すと[図Ⅱ]のようになります。ただし、2点が重なるとき、または3点が一直線上に並ぶときは面積を0とします。
このとき、次の問いに答えなさい。(本郷中2022・第3回)

⑴ 辺ABの長さは何㎝ですか。

 

右矢印 図Ⅱのグラフをみると、△BCPの面積(Pは片道しか移動しないのでヤマが一つだけの方)は最大で168㎠。このとき高さが最大になるが、これは図ⅠでいうとPがEの位置にきたとき。

このとき「辺ADの長さは14㎝」より底辺BCも14㎝なので

 14×AB÷2=168 より AB=24㎝

 

受験生正答率83%(356/428)の問題。このあとの小問⑵は41%(174/428)、小問⑶は31%(133/428)となっています(学校発表)。

⑵ 2点P、Qが動き始めてから、最初に2つの図形の面積が等しくなるとき、その面積は何㎠ですか。

 

右矢印 グラフが交わる点が「2つの図形の面積が等しくなる」ところで、これが最初にくるのは下の図の黒点のところ。この上下に相似な三角形ができており、下の三角形の高さがそのまま「2つの図形の面積」となる。その相似比が 7.5:10=3:4 であることから、下の三角形の高さを求めると

 168×⁴⁄₇=96㎠

 

⑶ 最後に2つの図形の面積が等しくなるのは、2点P、Qが動き始めてから何秒後ですか。

 

右矢印 「最後に2つの図形の面積が等しくなる」のは下の図の黒点のところで、この点の位置が求めたい「何秒後」かとなる。この上下にある相似な三角形の相似比は 12.5:5=5:2 なので、点の位置は

 20+5ײ⁄₇=21³⁄₇秒後