水そうと棒② | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

 

立体図形の分野では「水そうと棒」の問題もまた難問化してきているという印象です。とくに近年はあえて図をのせない傾向にあり、そうなると自分できちんと水そう図(平面図)が書けるかが重要なカギとなります。

たとえば次のような問題。

 

直方体の容器に水が入っています。また、高さが容器の深さより長く、底面積が4㎠の棒A、底面積が6㎠の棒B、底面積が10㎠の棒Cがあります。いま、これらの棒を底面が容器の底にぴったりとつくようにいれます。棒Aを12本入れると水面が4㎝上がります。そこに、棒Bを2本と棒Cを2本追加で入れると水面がさらに4㎝上がります。さらに、棒Bを4本、棒Cを4本入れると384㎤の水があふれます。次の問に答えなさい。(帝塚山中2019・2次A)

⑴ 棒が入っていない状態から、水面の高さを4㎝上げる棒の使い方は、棒Aを12本使う場合を含めて全部で何通りありますか。

 

右矢印 「底面積が4㎠の棒A」を「12本入れると水面が4㎝」上がる。水面の高さは底面積に反比例するから、「水面の高さを4㎝上げる棒の使い方」とは底面積の合計が4×12=48㎠となるような棒の使い方を求めればよい。

樹形図を書いてこの組合せを求めると(いちばん大きいCを何本使うかで分けるのが効率的なのでC-B-Aの順に考えると)次のとおり14通り

 

⑵ 容器の底面積は何㎠ですか。

 

棒Aを12本入れ」さらに「棒Bを2本と棒Cを2本追加で入れ」たあとの状態を水そう図にすると次のとおり(水そう図はタテに水位、ヨコに底面積を書き、棒は左によせて書く。棒の「高さが容器の深さより長く」なるようにすることもあとでポイントとなるので注意)。

ここで黄色い長方形と青い長方形の面積は等しいから、黄色のヨコ:青のタテ=80:8=10:1より、黄色のタテ:青のヨコ=①:⑩とおける。

 

ここで少し時をもどして、最初に「棒Aを12本入れ」ただけの水そう図は次のとおり。

ここでも黄色の長方形と青の長方形の面積は等しいから、

 ①×48=4×(32+⑩) 式の両側を4でわると⑫=32+⑩ 

よって ①=16 より「容器の底面積」は48+32+⑩=240㎠

 

 

⑶ 初めに容器に入っていた水の体積は何㎤ですか。


右矢印 240㎠×16㎝=3840㎤

 

 

⑷ 容器の深さは何㎝ですか。

 

右矢印 最後に「棒Bを4本、棒Cを4本入れ」たときの水そう図は次のとおり。

このとき「384㎤の水があふれ」たのだから、上で求めた「初めに容器に入っていた水の体積」3840㎤より、

 96×▢+384=3840

 ▢=(3840-384)÷96=36cm 完了