以前の記事の続きです。
次のような一行問題が出されることがあります。
132の約数をすべて加えると▢になります。(慶應義塾中等部2020)
対策ができている小学生も多いことと思いますが、もしまだならたとえば次の入試問題を使うなどして、夏のうちに約数の和の求め方を完璧にしておきたいところです。
三田くんと玉川さんが、約数について話をしています。
三田くん:ねぇ玉川さん、整数の約数について、先生から面白い話を聞いたんだ。
玉川さん:どんな話?
三田くん:例えば、12の約数が何個あるかって問題はどうやって考える?
玉川さん:こうやって書いて、6個って考えるかな?
三田くん:僕もそうやって解いていたんだけど、全部の約数を書き出さなくても分かる方法を教えてもらったんだ。
玉川さん:どうやるの?教えて!
三田くん:まずは、12を素数のかけ算で表すと、12=2×2×3だね。
玉川さん:それで?
三田くん:2×2の約数を横に並べ、別の素数である3の約数を縦に並べて長方形を区切ると、区切られてできた四角形の個数が約数の個数になるんだよ。
玉川さん:なるほどね。しかもそれぞれの四角形の面積が約数と対応してるんだね。
三田くん:玉川さん、すごい。そうなんだよ。僕は先生に言われるまで、そのことに気づけなかったな…。だから、12の約数の和をすべて求める問題が出たら、1+2+3+4+6+12と計算しなくても解けるんだ。そして、図の長さが正確でなくても求められるね!
玉川さん:なるほど。面白い解き方を教えてくれてありがとう!
(三田国際学園2022)
⑴ 12のすべての約数の和を求めなさい。
上の四角形の面積を求めればよい。タテと横でそれぞれまとめて計算すると、タテが4(=1+3)、横が7(=1+2+4)の長方形となっているので
4×7=28
⑵ 3969の約数の個数を求めなさい。
上の会話文にしたがって求めてみる。
まずは3969を素数のかけ算で表すと、3969=3×3×3×3×7×7。
そこで3×3×3×3の約数を横に並べ、別の素数である7×7の約数を縦に並べて長方形を区切る。
この区切られてできた四角形の個数が約数の個数になるから 3×5=15個
⑶ 3969のすべての約数の和を、三田くんと玉川さんのやり取りを参考に、図を用いて求めなさい。どのように考えたかも合わせて答えなさい。
それぞれの四角形の面積が約数と対応しているから、タテと横でそれぞれまとめて計算すると、タテが57(=1+7+9)、横が121(=1+3+9+27+81)の長方形となっているので
57×121=6897
ということで冒頭の問題も同じように考えて、132=2×2×3×11 より
(1+2+4)×(1+3)×(1+11)=7×4×12=336
が答えとなります。
3種類の素数が出てきますが、「四角形の面積が約数と対応」→「直方体の体積が約数と対応」と読み替えて、同じ手順で約数の和が求められます。