仕事の順番(仕事算) | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事に関連するテーマです。

 

仕事算の特殊なパターンとして、次のような「仕事の順番」(仕事をする順番を変えると完成までの時間や人数が変わってしまう)という問題が出されることがあります。初見だとかなりてこずるはずなので、この夏にマスターしておきたい問題の一つです。

 

  一定の作業量で交代するパターン(大妻2021)

 

20ページある文書をパソコンに入力する作業をA、B、Cの3人で、1ページ入力するごとに交代します。 
 ①A→B→C→A→… 
 ②C→B→A→C→…  
 ③A→B→A→…

②の順番で行うと、①の順番で行うより3分多くかかります。③のようにA、Bの2人だけで行うと、①の順番で行うより15分速く終わります。C→A→B→C→…の順番で行うと、①の順番で行うより何分早くまたは遅く終わりますか。

 

右矢印 A、B、Cが1ページ入力するのにかかる時間ををそれぞれⒶ分、Ⓑ分、Ⓒ分とする。

また「C→A→B→C→…の順番」を④とする。

 

①と②を比べる

①A→B→C→A→B→C…→A→B→C→A→B

②C→B→A→C→B→A…→C→B→A→C→B  

 

①と②を見ると「A→B→C」でも「C→B→A」でもかかる時間は一緒なので、18ページまでの入力時間は変わらない。となると「②の順番で行うと、①の順番で行うより3分多くかか」るのは(20ページのBも同じなので)19ページの入力時間だけの違い。

よって Ⓐ+3=Ⓒ

 

①と③を比べる

①A→B→C→A→B→C…→C→A→B→C→A→B

③A→B→A→B→A→B…→A→B→A→B→A→B 

 

①と③では「A→B」が7つ共通しているので、その残りの部分で式を立てると

 Ⓒ×6=(Ⓐ+Ⓑ)×3+15

両側を3で割ると Ⓒ×2=Ⓐ+Ⓑ+5

わかりやすく変形すると Ⓒ+Ⓒ=Ⓐ+3+Ⓑ+2

ここでⒶ+3=Ⓒなので、残りの部分から Ⓒ=Ⓑ+2 がわかる。

 

最後に①と④を比べる

本問できかれているのは④と①の順番。

④C→A→B→C→A→B…→C→A→B→C→A 

A→B→C→A→B→C…→A→B→C→A→B

 

二つを見くらべるとやはり18ページまでは入力時間は変わらず、④の19ページめと①の20ページめだけが違う。つまりⒸとⒷの大小を比べる問題なので、上で求めたⒸ=Ⓑ+2より、Ⓒの方が2大きい。

これはCがBより1ページあたり2分入力が遅いということなので、「C→A→B→C→…の順番で行うと、①の順番で行うより2分遅く終わる。

 

 

  一定の作業時間で交代するパターン(鷗友2018)

 

ある本数の苗があります。この苗を、A、B、Cの3人が10分交代で1人ずつ学校の畑に植える作業をしようとすると、次のようになります。ただし、最後に作業をする人は、10分たっていなくても作業を終えることにします。
ア A、B、C、A、B、C、…の順に植えると、最後にBが5分植えたところですべて植え終わります。
イ B、C、A、B、C、A、…の順に植えると、すべて植え終わるのにアのときよりも6分長くかかります。
ウ C、A、B、C、A、B、…の順に植えると、すべて植え終わるのにアのときよりも5分長くかかります。
また、A、B、Cが1分間に植える本数はそれぞれ一定であるものとします。(2018鷗友学園)

⑴ Bが1分間で植える苗の本数とCが1分間で植える苗の本数の比を、最も簡単な整数の比で表しなさい。

 

右矢印 アからウの説明を図にすると次のとおり。とくにイの場合、アやウより1人分多いのべ人数で対応する必要があることに注意する。

 

 ア A、B、C、A、B、C、…、A、B、CA、B(5分だけ)
 イ B、C、A、B、C、A、…、B、C、AB、C、A(1分だけ)
 ウ C、A、B、C、A、B、…、C、A、BC、A

 

これらを比べるとき(前問と同じく)グレーの部分では時間の違いはないので、黄色部分だけ見ればいい。

 

アとウを見くらべると、Bの5分の作業量=Cの10分の作業量だとわかる。

よって植える本数の比はかかる時間の逆比なので「Bが1分間で植える苗の本数とCが1分間で植える苗の本数の比」は2:1

 

⑵ Aが1分間で植える苗の本数とCが1分間で植える苗の本数の比を、最も簡単な整数の比で表しなさい。

 

右矢印こんどはイとウを見くらべると、

 

 イ B、C、A(1分だけ)
 ウ C、A

 

より、Bの10分の作業量+Aの1分の作業量=Aの10分の作業量となっているから、Aの9分の作業量=Bの10分の作業量とわかる。

ここからAとBの植える本数の比はこの逆比で10:9。これを小問⑴でえられた結果(B:C=2:1)と比合わせする(連比にする)と

  A:B:C=10:9:4.5=20:18:9

というのが3人の植える本数の比となる。 

よって「Aが1分間で植える苗の本数とCが1分間で植える苗の本数の比」は20:9

 

⑶ Aだけで苗を植えると、すべて植え終わるのに1時間34分かかります。A、B、Cの3人が同時に苗を植えると、すべて植え終わるのに何分かかりますか。

 

こちらはよくあるふつうの仕事算になります。

 

右矢印 上で求めた連比20:18:9より、Aの1分あたり仕事量を⑳とおくと、Bは⑱、Cは⑨となる。「Aだけで苗を植えると、すべて植え終わるのに1時間34分」(=94分)かかるから、このときの全体の仕事量は⑳×94。

これを3人の仕事量の和㊼で割ると40分 完了