ハノイの塔(マニアックな受験算数⑤) | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

中学入試でたまに取り上げられるマニアックなテーマとして「ハノイの塔」もあります。遊んだことがある人に多少有利だったかもしれませんが、たとえば次のような問題が出されています。

 

  ハノイの塔①(日出学園2018)

 

太郎さんは3本の柱(A、B、Cとします)と、大きさがことなる数枚の円板を用いたパズルで遊んでいます。この円板は中央に穴が開いており、最初は柱Aに図1(a)のように全て重ねられています(図は円板が2枚の例です)。全ての円板を最少の移動回数で柱Cに移動することが目標です。その時には次のきまりを守らなければいけません。
<きまり>
 ① 1回には1枚の円板だけを移動する
 ② 移動する円板は柱以外に置けない
 ③ 小さい円板の上には大きい円板は置けない
例えば、円板の枚数が2枚の時は図1(b)のようにA→B、A→C、B→Cの3回で移動することができます。このときのとき、次の問いに答えなさい。

 

⑴ 円板が3枚の場合、移動は最少で何回かかりますか。また、その移動の流れを問題文の下線部にならって、すべて書きなさい。 

 

右矢印 7回。A→C、A→B、C→B、A→C、B→A、B→C、A→C

 

 

⑵ 円板が6枚の場合、移動回数は63回です。図2はその途中の様子を記録したものです。太郎さんはこの図2を見て、あるきまりに気づくことができました。6枚の移動回数が63回であることを利用すると、円板が7枚の場合の移動は最少で何回かかりますか。

右矢印 図2をみると、①6枚のうち上の5枚をまずA→Bに移動させ、②残った一番下の1枚をA→Cに移動させ、③Bにある5枚をCに移動させている。②は移動回数1回、①と③は同じ動きなので移動回数も同じ(31回ずつ)で合計63回となっている。

 

円板が7枚の場合もやり方は一緒で枚数が変わるだけ。こんどは①円板6枚をA→Bに移動させ(ここで63回)、②1枚をA→Cに移動させ(1回)、③円板6枚をB→Cに移動させる(ここも63回)ことから合計127回が最少

 

 

ハノイの塔で円板の枚数がN枚のとき、最少の移動回数は
 2×2×…×2(2をN回かけたもの)-1
となることが知られています。

 

  ハノイの塔②(大宮開成2020)

 

下の図のようにA、B、Cの3本の棒が立てられていて、Aの棒には上から小さい順にいくつかの円板が重ねられています。

次の①〜③のルールにしたがってAの棒に重ねられている円板をA以外の1本の棒にすべて移動します。
① 他の棒に移すときに1回と数えます。
② 1回に1枚だけ移すことができます。
③ すでに置かれている円板の上には、より小さい円板しか重ねることができません。
次の各問いに答えなさい。

⑴ Aの棒にある円板が3枚のとき、最も少ない移動回数は何回ですか。

 

右矢印 2×2×2-1=7回

 

⑵ Aの棒にある円板が5枚のとき、最も少ない移動回数は何回ですか。

 

右矢印 2×2×2×2×2-1=31回

 

 

ハノイの塔の計算方法(覚えるのも簡単)を知っていると上のように秒殺できてしまうため、バレないように次のようにカードに変えて出されるケースもあります。

 

  ハノイの塔③(芝中2022第2回)

 

A、B、Cの3つの箱があります。箱Aには1から順に1、2、3…と整数が書かれているカードが上から小さい順に重ねられています。そのカードを次のルールでなるべく少ない回数で箱Aから箱Cに移動します。

ルール1.1回に移動するカードは重ねられた一番上の1枚だけです。
ルール2.移動するカードは空の箱か、移動するカードの数字より大きいカードの上にしか移動できません。
ルール3.A、B、Cのどの箱のカードもA、B、Cのどの箱にでも移動することができます。

以上のようにして、3枚のカードは7回で移動できます。
⑴ 箱Aに4枚入っている場合を考えます。まず、1、2、3のカードを(例)と同様にして箱Bに7回で移動します。次に4のカードを箱Aから箱Cに移動した後、箱Bの3枚を(例)と同様にして箱Cに移動すると、4枚のカードは▢回で移動ができます。

 

 

右矢印 ハノイの塔と同じしくみなので 2×2×2×2-1=15回

 

⑵ 箱Aに6枚入っている場合、6枚のカードは▢回で移動できます。

 

 右矢印 2×2×2×2×2×2-1=63回 完了