以前の記事の続きです。
「ある整数」という表現が問題文に出てくるものがあります。なぜ「ある数」ではなくてわざわざ「ある整数」になっているのかという問題意識が今回のテーマの出発点です。
結論的には「ある整数」の表現が問題文に出てきたときは「商とあまり」(とくに「倍数と約数」)がテーマの問題だと考えてほぼ間違いなさそうです。整数に限定する必要があるのは(整数であることが前提の)「あまり」をテーマにした問題だからという背景のようです。
たとえば次のような問題。
商とあまり①(甲南女子2021)
ある整数で83を割ると5余り、59を割ると7余ります。ある整数をすべて答えなさい。
「ある整数で83を割ると5余り」より 83-5=78 ならある整数で割り切れる。つまり、ある整数は78の約数。
また「59を割ると7余り」より 59-7=52 ならある整数で割り切れる。つまり、ある整数は52の約数でもある。
そこで78と52の公約数を探すと1、2、13、26の4つ。
ある整数は8以上(余り7が出ているので)なので 13と26
商とあまり②(攻玉社2021)
3つの数2021、2177、2385をある整数Aで割ったところ、その余りがすべて同じ数になりました。整数Aのうち、最も大きな数は▢です。
3つの整数をAで割るとどれも余りが同じになるというのは、どの2つの整数の差をとってもAで割り切れるということ。図にするとこんな感じ。
ここでわかるのは、2177-2021=156もAの倍数。これは裏を返すとAは156の約数だということ。
同じく、2385-2177=208もAの倍数なので、Aは208の約数でもあるということ。
よって「整数Aのうち、最も大きな数」は156と208の最大公約数ということとなり ▢=52
商とあまり③(四天王寺中2022)
Aさん、Bさん、Cさんの3人が、『ある整数』について次のように話しています。
3人のうち1人は『ある整数』について正しく話していますが、別の1人は『ある整数』と1だけちがう数を『ある整数』として話し、残りの1人は『ある整数』と2だけちがう数を『ある整数』として話しています。『ある整数』はいくつですか。
A発言「『ある整数』はその数と1でしか割り切れない」に出てくる『ある整数』をAとすると、「その数と1でしか割り切れない」というのは素数の特徴であり、Aは素数のどれか。
B発言「『ある整数』を3倍して、2を引いて4で割ると、割り切れて答えは19になる」に出てくる『ある整数』をBとすると、(B×3-2)÷4=19より B=26
C発言「24を7倍して『ある整数』で割ると、割り切れて答えは6になる」に出てくる『ある整数』をCとすると、24×7÷C=6より C=28
あとは素数Aを決めるだけ。26と28にいちばん近い素数29(50までの素数15コはパッと書き出せるようにしておきたい)でためしてみると、
『ある整数』=28
「『ある整数』と1だけちがう数」=29
「『ある整数』と2だけちがう数」=26
とすればぜんぶうまく条件に合うことがわかる。
よって『ある整数』は28