N進法をきわめる⑤(部屋番号) | 受験算数はきょうもおもしろい

前回の記事の続きです。

 

N進法のなかで一番有名なのは部屋番号の問題でしょう。とくに「4と9が使えない部屋番号」と聞くと、少し勉強の進んだ小学生なら変則8進法の問題だと即答するはずです。ただ、そういう図式があてはまらない入試問題も近年出てきており、N進法による解法にこだわって遠回りすることのないようにしたいところです。

たとえば次のような問題。

 

16階建てのホテルがあり、各階には16部屋あります。それぞれの部屋には4つの数字による「部屋番号」がわり当てられていて、左2つの数字がその階を、右2つの数字が部屋の順番を表しています。ただし、「部屋番号」に4と9は用いないこととします。
(例)1階の1番目は「0101」、2番目は「0212」、3番目は「0103」、4番目は「0105」、4階の9番目は「0511」、16階の16番目は「2020」
このとき、次の問いに答えなさい。(洛南高附中2022)
⑴ 「1517」は何階の何番目ですか。

 

洛南高等学校附属中学校 2023年度受験用 赤本 1031 (中学校別入試対策シリーズ)

 

上2ケタと下2ケタがつながっておらず、変則8進法は使えないので、ふつうの整数問題として考えます。

 

右矢印 「1517」のうち上2ケタ「15」についてまず考える。15までに用いない数字が04、09、14の3コあるから、もとの数字は12。

つぎに下2ケタ「17」を考える。17までに用いない数字も同じ3コなので、もとの数字は14。

よって12階の14番目

 

N進法による別解

むりやりN進法の問題として考えると(8進法ではなく)16コの整数を使うので16進法、しかも4と9を使わないので変則16進法として考える。

16進法と変則16進法の対応を表にすると次のとおりなので、変則16進法「1517」をふつうの16進法に戻すと15→12、17→14より12階の14番目

 

 

⑵ 「部屋番号」を4けたの整数(千の位の数が0のときは3けたの整数)とみなして小さい順に並べたとき、100番目の「部屋番号」は何ですか。

 

右矢印 100番目の部屋をふつうの数え方で考えてみると、各階に16部屋あるから6階までに96部屋ある。つまり7階の4番目の部屋となり、ふつうの部屋番号だと0704となるところ。

これを「4と9は用いない」数え方に直すと 0805

 

N進法による別解

これも変則16進法として考えてみる。

100を16進法であらわすと「0604」(16×6+4=100より)となるが、これは0001を1番目としたときの100番目。実際の数えはじめは0101なので、この差0100をたした「0704」がふつうの16進法による部屋番号。

これを上記表で変則16進法にすると0805

 

 

⑶ 4つの数字をたすと5になる「部屋番号」は、いくつありますか。

 

4つに分けるのではなく、2つと2つ(上2ケタと下2ケタ)のペアで考える。

するとペアの和の候補は次の4組。

 ①和が1…01、10

 ②和が2…02、11、20

 ③和が3…03、12

 ④和が4…13

これらをたして5にする組合せは1+4か2+3しかないので、その並びは(上2ケタと下2ケタの入れ替えも考えて)次の合計で16通り 

 

⑷ 「部屋番号」を4けたの整数(千の位の数が0のときは3けたの整数)とみなしてすべてたすと、いくらになりますか。

 

右矢印 まず下2ケタを考えると、01から20までの合計210(=(1+20)×20÷2)。ここから用いない数字の合計46(=04+09+14+19)を引くと164。これが「16階」あるから×16して2624

 

この数字を100倍したものがそのまま上2ケタとなる。つまり、0100から2000までの合計21000から、用いない数字の合計4600を引くと16400。これが「16部屋」あるから×16して262400

これらをたすと 265024