以前の記事に関連する「倍数の個数」がテーマです。
カードを使った問題(カード問題)で実は倍数の個数が問われているというものがよく出されます。
これにはベン図を使って集合算として考えることもできますが、2つの円のベン図だと難なく対応できても、3つの円のベン図になると混乱しがちだという小学生は少なくないはずです。円を3つ書くだけで結構スペースを使うので、限られた計算欄のなかでこれをやろうとすると円も数字も小さく見づらいものになってしまう(情報を整理するどころではなくなってしまう)ことが要因として大きいように思います。
「倍数の個数」を求めるなど個数に重なりが発生する問題では(計算だけでは対応が困難だとしたら)ベン図でも表でもケースバイケースでいつでも両方を使いこなせるという二刀流の状態にしあげておきたいところです。
たとえば次の問題。
1から100までの異なる整数が書かれた100枚のカードがあります。
まず、6の倍数が書かれているカードに赤色のシールをはりました。
次に、4の倍数が書かれているカードに黄色のシールをはりました。このとき、4の倍数が書かれているカードに赤色のシールがはられている場合は、赤色のシールをはがしてから黄色のシールをはりました。
最後に、7の倍数が書かれているカードに緑色のシールをはりました。このとき、7の倍数が書かれているカードに赤色または黄色のシールがはられている場合は、赤色または黄色のシールをはがしてから緑色のシールをはりました。
緑色のシールをはったあとの100枚のカードについて、次の[ア]~[力]に当てはまる数を求めなさい。
① 緑色のシールがはられているカードは[ア]枚あり、それらのカードに書かれている整数の合計は[イ]です。
② 黄色のシールがはられているカードは[ウ]枚あり、それらのカードに書かれている整数の合計は[エ]です。
③ 赤色のシールがはられているカードは[オ]枚あり、それらのカードに書かれている整数の合計は[力]です。 (フェリス女学院2022)
「6の倍数が書かれているカードに赤色のシール」をはる作業①、「4の倍数が書かれているカードに黄色のシール」をはる作業②、「7の倍数が書かれているカードに緑色のシール」をはる作業③の結果どうなるか、表でまとめていく。
作業①(6の倍数)の結果
まず、1から100までのなかに6の倍数、4の倍数、7の倍数はそれぞれ16コ、25コ、14コある。とりあえずこれをそのまま表に記入する。
作業①により赤色シールが仮に16枚のカードにはられることになる。
これが作業②、作業③によりどう変わるか以下見ていく。
作業②(4の倍数)の結果
黄色シール25枚がはられる。
そのかわり、6の倍数と4の倍数はその最小公倍数12ごとに重なり、この重なりが8コ(100÷12=8…4)あるので、赤色シール8枚がはがされる。
作業③(7の倍数)の結果
緑のシール14枚がはられる。
そのかわり、4の倍数と7の倍数はその最小公倍数28ごとに重なり、この重なりが3コ(100÷28=3…16)あるので、黄色シール3枚がまずはがされる。
また、6の倍数と7の倍数はその最小公倍数42ごとに重なり、この重なりが2コ(100÷42=2…16)あるが、うち1コはすでに引いた(カード番号84のシールは黄→緑にはりかえ済み)のでこれは考えない。
ということで赤色シール1枚(カード番号42)もはがされる。
こうしてシールの枚数が決まったので問題を見ていくと
① 緑色のシールがはられているカードは[ア]枚あり、それらのカードに書かれている整数の合計は[イ]です。
アは14枚。その合計は、カード番号7から98まで7ずつ増えているので (7+98)×14÷2=735
② 黄色のシールがはられているカードは[ウ]枚あり、それらのカードに書かれている整数の合計は[エ]です。
ウは22枚。その合計は、4の倍数(カード番号4から100までの25枚)から28の倍数(28、56、84)を引いたものなので (4+100)×25÷2-(28+56+84)=1132
③ 赤色のシールがはられているカードは[オ]枚あり、それらのカードに書かれている整数の合計は[力]です。
オは7枚。その合計は、6の倍数(カード番号6から96までの16枚)から12の倍数(12から96までの8枚)を引き、さらにカード番号42を引いたものなので
(6+96)×16÷2-(12+96)×8÷2-42=816-432-42=342