N進法をきわめる | 受験算数はきょうもおもしろい

今回取り上げるのは「N進法」です。

こういう問題です。

 

下の表のように、0と1のみを利用して数を表します。このような表し方を二進法といいます。私たちが普段、利用している数の表し方は十進法といいます。(聖学院中2022帰国)

 

⑴ 20を二進法で表すと▢となります。

 

右矢印 このように「十進法をN進法で表したらどうなるか?」というのがN進法の基本問題となります。ここから先は二進法(N=2のとき)で説明します。

 

  「10コで位が上がるのが十進法、2コで位が上がるのが二進法」

 

十進法を2進法に直すときは2のわり算をくり返す(2コで位があがるので)ことになるため、ふつうのわり算の筆算とは逆方向に進む「すだれ算」(最大公約数・最小公倍数でも使った)を使います。

このあまりと最後の商を逆から並べた 10100 が小問⑴の答えになります。

 

⑵ ★のついている数に注目すると、以下のようになります。▣に入る数は▢です。ただし、▣にはすべて同じ一けたの数が入ります。
   4=▣×▣
   8=▣×▣×▣
 16=▣×▣×▣×▣

 

右矢印 「10コで位が上がるのが十進法、2コで位が上がるのが二進法」なので、二進法では右から順に1の位、2の位、4の位、8の位、16の位…となります。

これの説明なので▣に入るのは 2

 

⑶ ⑵より、二進法の「1000000」は、十進法の▢を表していることがわかり、十進法の1024を二進法で表すと▢けたの数になることがわかります。

 

右矢印 「10コで位が上がるのが十進法、2コで位が上がるのが二進法」より、二進法「1000000」は右から7つめ(64の位)に「1」があるので、十進法の 64 を表します。

また十進法1024はその十進法64をさらに「×2×2×2×2」したものなので、二進法「1000000」が7けたなら、ここからさらに4けた増えた 11けた となります。

 

変則N進法

 

ここからが本題になります。

 

  「10種類の数を使うのが十進法、2種類の数を使うのが二進法」

 

ここまで「10コで位が上がるのが十進法、2コで位が上がるのが二進法」というN進法の表の性質を使ってきましたが、入試で同じくらいよく取り上げられるのがN進法の裏の性質「10種類の数を使うのが十進法、2種類の数を使うのが二進法」を利用する考え方です。「変則N進法」と呼ばれたりします。

 
変則N進法というとホテルの部屋番号の問題(4と9を使わない変則8進法)が有名ですが、この出題は近年めだって減っている印象。むしろ次のような数列の問題として出される方向にシフトしてきており、こちらに対応できるように訓練しておくのがより実践的かと思います。

数字の1と2だけを使って整数を作り、小さいほうから順に1, 2, 11, 12, 21, 22, 111, …のように並べます。小さい方から33番目の整数を答えなさい。(豊島岡2021第3回)

 

右矢印 「10種類の数を使うのが十進法、2種類の数を使うのが二進法」だと考えると、本問は1と2の2種類の数字を使う問題なので2進法を利用できる問題(変則2進法の問題)だと考えることができます。

そこでこれをすだれ算で考えると次のようになります。



 

さきほどのふつうのすだれ算と一つ違う点は青字部分で、0を使わない2進法であるため、本来なら「あまり0」となるはずのところは一つ手前で止めて「あまり2」にするという工夫が必要になります。

  答. 11121

 

 

これを規則性の問題として解こうとすると、1けたの数は1と2の2コ、2けたの数はこれに1Xと2Xが加わって4コ、3けたの数はこれに1XXと2XXが加わって8コ、4けたの数は16コ。ここまで30コなので、33番目の数は5けための3番目となり11111→11112→11121という求め方になる(どうしても時間が余計にかかってしまう。とくに「3333番目」など数字が大きくなったような場合)。