受験算数では正三角形や正方形の問題が数多く登場するので、形の崩れた図形をたまに見るとなんだかモヤッとしてしまう。そういうモヤッとする多角形の角度問題がときどき出されます。
ふつうの六角形や八角形の内角の和は受験する小学生なら瞬時に出せるはずですが、こういう多角形についても考え方を一度整理しておき、確実に得点できるようにしておきたいところ。
以下すべて、印のついた角の角度の合計を求めなさいという入試問題になります。
基本形(品川女子学院2021第2回)
基本形はこういう形になります。アプローチはいろいろあるはずですが、図形→補助線という自然な思考の流れにしたがったものを基本にしておくのがいいかと思います。
❶一番下に補助線を引く。
❷すると、この補助線の両端の角の和は★と☆の角度の和に等しい(向かい合う三角形の対頂角は等しいからその残りの角の和も等しいことを利用)。
❸つまり赤の六角形の内角の和を求めればよいから 720°
このように向かい合う三角形を見つけて(もしなければ補助線を引いて無理やり作って)角を移すことを基本形とするのがわかりやすいかと思います。
少し変形したもの(穎明館2021帰国)
❶補助線を2本引く
❷するとこの補助線の外側に四角形1つ(360°)と三角形1つ(180°)ができた。
❸さらに次のような補助線を付け足す。
❹この補助線の両端の角の和は★と☆の角度の和に等しいから、あらたに四角形1つ(360°)ができる。これら3つの図形の角度を合計すると 360+360+180 = 900°
地上絵みたいなもの(普連土2020算数)
外側の三角形6コがすべて正三角形のときでも成り立つはずなので、1つの角を60°として考えると 60°×12=720°
向かい合う三角形を見つけて角を移していくという定石どおりやってももちろん出せますが、こちらの方が簡単です。
なお、以上からわかるように、こういう変形多角形の内角の和は必ず180°の倍数になっているので、どうしてもわからない問題には「720°」か「960°」あたりを解答しておけばもしかしたらいいことがあるかもしれません。
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