せっかく習った連比を使わないのはもったいない入試問題 | 受験算数はきょうもおもしろい

受験算数では比の単元のところで一緒に「連比」も習いますが、最後まで使い方がよくわからなかったという小学生も実は多いのではと想像します。

ふつうの比がきちんと使えれば連比にしなくても処理できるためですが、連比が使いこなせると思考を単純明確化できて効果絶大という問題もいくつかあります。

 

その一つがいわゆる「くるった時計」の問題です。たとえば次の問題。正解できた受験生は半数以下だったそうです(学校発表で正答率45.5%)。

 

「一定の割合で進む2つの時計A、Bを午後2時に正しい時刻とあわせ、同じ日に時計の指す時刻を調べました。Aの時計が午後3時を指したとき、Bの時計は午後2時56分を指していました。Bの時計が午後3時を指したとき、正しい時刻は午後3時6分でした。Aの時計が午後3時を指しているときの正しい時刻は午後何時何分何秒ですか。」

(洗足学園2016第2回)

 

 

 

右矢印 時計の進む速さをそのまま比にする。

「Aの時計が午後3時を指したとき、Bの時計は午後2時56分」

 A:B=60分:56分=15:14

「Bの時計が午後3時を指したとき、正しい時刻は午後3時6分」

 B:正=60分:66分=10:11

 

これを連比の形にする(比合わせする)と

 

求めるのはAの時計が午後3時のとき(=Aの時計で60分後)の正しい時刻なので、上の連比のうち「A:正」の部分に着目して式を立てると

    A:正=75:77=60分:□分

これを解くと □=60×77÷75=61.6分

よって 午後3時1分36秒 完了

 

なお、おもしろいのは採点者所見で「午後3時2分00秒という誤答が散見されました。」と誤答の典型例までわざわざ発表されている点。

「Bが3時→㊣は3時6分なのでBは㊣から6分遅れ。そしてAが3時→Bは2時56分なので、㊣=2時56分+6分=3時2分だ!」と足し算してしまうというのは小学生にありがちな間違いです。