1月中旬から、長男は2月校入試に備えて
小学校を自主的にお休みし、
最終調整をしていました。

丸一日時間があるので、第一志望校のB中学と、第二志望校のA中学の過去問を
もう一周しようか、ということで
直近の2年分を解いてみることに。
SAPIXの指示通り、9月から受験校の過去問に取り掛かり
冬期講習開始前までに全て終わらせ、
間違えた所は解き直し、記述は先生が添削、ということで完璧と言える状態まで対策をした…
はずでした。

今回は直前期だし、過去に一度解いた問題なので
実際と同じ試験時間で過去問を解いて
丸付けは時間がもったいないということで私が担当。
当然、満点近い点数が取れているはず。

すると…

なんと、2回目だというのに
前回解いた時の半分も取れていない。

嘘だろ?
見間違いか?
と思って
他の科目も採点してみた。

どの教科も酷い…。
しかも空欄だらけ。

A中学はまだしも、特にB中学の結果が酷い。
本当にズタボロ。
記述が全く書けていなくて、書いている問題でもピント外れなことを書いてしまっている。

点数を告げると長男は
ショックだとか荒れるだとかを通り越して
まさに茫然自失…。
なぜここに来てこんなことに?
二人して、訳が分からず放心状態。

あんなに勉強していたのに
長男の中で何が起こっているのか
全く分からない。

だから、何をどうしてあげたら良いのか
見当もつかない。

とりあえず解き直し。
そしてまた採点。
でもやはり酷い点数。

そんな状態が3日続き、
これは相当マズイ状況だと長男も主人も私もますます焦り始めました。

「どうしよう。どうしたらいいの?
もう受かる気がしない。」

そう言って、長男は既に泣きそうになっている。
でも、泣いてもどうにもならないことが分かっていて、泣くのを必死で堪えている。
これはメンタルが限界かもしれない。
長男に何を言っても、耳に入りそうに無い。
こんな精神状態では、
どこの入試を受けても
受かるはずがない。

どうする?

そうこうしている間にも、刻一刻と入試日に近付いていく。

まさか。
こんなことになるなんて。
どうしてこんな大切な時期に
ここまで酷い状況になってしまったの?

暗く深い闇の中に
ズルズルと落ちていくかのような恐怖感。
そして
3年間という大切な時間を失わせてしまうのではないか、受験なんてやめておけば良かった、という、今更考えても仕方のないような後悔が頭の中をぐるぐると回る。

どうしよう…。
考えても考えても、答えが出ない。

とにかくSAPIXの先生に相談してみようか。

特に酷い点数を取っていた算数。
SAPIXに電話し、お世話になっていた算数の先生に電話を取り次いでもらい、現状を報告。
先生は

「本人と直接お話出来ますか?」

とのことで長男に電話に出てもらう。

30分くらい話し込んでいたでしょうか。
電話を切った後の長男は、少しだけ表情が和らいでいました。

が、マズイ状況なのには変わりない。
さて、どうする?
何か私に出来ることは?

とにかく自信を取り戻させること。
そしてこれまでやってきたことを信じること。
ならば……と思って
これまでSAPIXで受けたテストの解答用紙を全部出してきた。
そして、長男がテストでバツが付いてしまった漢字、知識系の問題などを全てピックアップし、
それに加えて、ネットで間違えやすい漢字、熟語、歴史用語などを探してきて
ざ〜っと見れば頭に残るように色分けして、重要度も分かるように印を付けて
ワードで資料を作成。

「ここに書いたこと、全部知ってるでしょう?そんだけ勉強したってことだよ。
本番になったらテンパってど忘れしたりすることもあるからまとめておいたよ。
試験の行きがけの電車とかで、ざっと見るだけでも頭に残るよ」
と言って本人に渡しました。
「うわ!すげぇ!ありがとう!これは使えるよ!」
本人は喜んでいました。

でも私は複雑でした。
こんなことで喜んでくれるのなら…
ほんの僅かでも力になれるのなら…

どうして…
どうしてもっと早くにやってあげなかったんだろう。

どうしてこんなギリギリになって
資料なんて作っているんだろう。

私はちゃんと伴走していたのだろうか。


入試まであと数日という時になって、
不安で不安で堪らなくなりました。
そして不安を通り越して、恐ろしくなりました。
恐らく長男はもっともっと不安なはず。
実際に頑張ってきたのは長男だし
長男はまさにこの入試の為に、あらゆるものを犠牲にしてやってきた。
憧れの学校に合格することだけを考えて
辛いことを沢山乗り越えてきた。
そして偏差値も上がって、確実に力がついてきていた。

それが、こうもあっけなくガタガタと崩れてしまうとは…。

落ち着け自分。
自分が取り乱していたら
長男はもっと不安になる。

落ち着け、落ち着け、と思いつつも
一方で
2月校全落ち、という悪夢が頭を過る。
受験校変更、熱望校はそのままで、併願校の変更が必要なのだろうか。
と、そんなことも考えました。
でも主人は
「それをやってしまうと本人が一番動揺する。とにかくこのまま行こう」と。

もし2月校全落ちしたら地元の公立中学には絶対に行きたくない、と長男は言う。
最悪の場合には1月に受けて合格した学校に、片道2時間半かけて通う?
それとも別宅を借りて通えるようにする?

そんなことも考えましたが
遠かろうとなんだろうと、とにかくひとつは合格を勝ち取っているということが心の支えになりました。

そうだ。
あの1月校の時には、緊張しつつも
しっかり力が出せたんだ。

あの時と何が違う?

本人にその話をしたら
「そうか。あの時のことを思い出せばいいんだ」と。

やはり、本番の入試が近付いて
完全に舞い上がってしまっていたのが原因のようでした。

あまり良くは思い出せないのですが
本人には

落ち着け。
とにかく自分がやってきたことを信じろ。
勝ちをイメージしろ。

そんなことを繰り返し、言っていたような気がします。

長男の調子がまだまだ戻らず
長男自身も私達親も
不安を引き摺ったまま、

1月30日、2月校入試の前々日。

SAPIXから動画が配信されました。

コロナ禍以前、入試当日には
各学校の入り口付近で、塾の先生が待機していて受験生に激励する、ということが当たり前に出来ていました。
が、コロナ禍なのでそういった塾の応援は控えてくださいと学校から御触れがあったとのことで
その代わりに、SAPIXの先生方お一人ずつが、受験生に向けての激励メッセージを撮って配信してくださるということでした。
私も長男と一緒に見ました。

長男の通う校舎の先生方の熱いメッセージ。
いつもは冷静に見えていた先生方が、
こんなに熱の籠もった言葉を
受験生に伝えている。
なんだか私まで、ジーンと胸が熱くなる。
特に国語科の先生からは
「今までにこれだけ多くの文章を扱ってきました。最早、あなた方が見たこともないような文章などありません!!!」
と。

他にも
SAPIXで君たちが如何に頑張ってきたのか。
そしてその努力を、いよいよ入試にぶつける時が来た。
自分のやってきたことを信じて、合格することだけを考えなさい。
などなど…

全部で10分間程のメッセージ動画でした。
動画を見終わって、何も言わずに
何やら考え込んでいる長男。

でもしばらくして
「……なんか……すごい…感動した……」
声を震わせて言いました。

それだけ言って
また黙って机に向かいました。

SAPIXの理科の先生にオススメされました。

ポケットサイズなので常に塾カバンに入れておきましょう。


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