どうしたいのか、どうしたら良いのか
答えが出ず、辛い状況のまま迎えた
天王山と言われる6年生の夏休み。

でも「受験をやめたい」とは言ってこない。
連日の夏期講習でヘトヘトになって、いよいよ長男も音を上げることになるのか?
今は静観するしか無いと思い、見守っていました。

夏休み中には、午前中に有名中(有名中学入試問題集。過去問をセレクトした分厚い冊子)をやり、午後はSAPIXで小テストや授業をみっちりと受け、帰宅後はすぐにその日の復習(復習する時間がほぼ取れないのでその日のことは授業中に理解して帰るようにと云われていました)
机に向かう時間も必然的に長くなり
見ている限りでは、余計なことを考える暇すら無いような?
そんな暇があったら勉強に充てたい、みたいな?
実際に夏期講習が始まってみると、なんだか夏休み直前の悩みまくっていた時とは少し違う長男。
余裕が無い、というのともちょっと違っていて
とにかく目の前のことを
淡々と、黙々と
こなしているような感じがしました。

相変わらず首筋やら肘やら無意識に掻き毟っているのだけど、一番辛そうにしていた時とは明らかに表情が違う。
SAPIXの先生が面白い話をしてくれたことや、面白いお友達のことを
以前と同じように話してくれるようになりました。
どうもこの辺りで、一山超えたような
そんな感じがしたのを覚えています。

丁度お盆の時期、SAPIXは数日間だけお休みになります。
受験が終わるまでは、と色々我慢させてしまうことになるので
家でずっと勉強していても煮詰まってしまうだろうから、と
行きつけの温泉宿に主人が予約してくれました。
3泊4日、その名も「勉強合宿」と称して
スケジュールを決め、みっちりと主人が付き添って勉強を見守り、疲れたら温泉に入る。そしてまた勉強して、美味しいものを沢山食べる。
いつも行く旅館なので、勉強部屋に最適な小部屋が付いたお部屋を、女将さんが用意してくださり
散歩とお風呂以外はそこに缶詰め状態。

たとえ缶詰めでも、場所を変えると気分転換しやすかったようで
勉強合宿中の長男は、表情がとても明るく、
「めちゃくちゃ捗る!ごはんめちゃくちゃ美味しい!温泉サイコー!」
と喜んでいました。
恐らく、主人がみっちり付いていたのが功を奏したのかもしれません。
物理的に近くに居てあげる、ということで「伴走してもらっている」という安心感に繋がったのかもしれません。
能力はあるはずなのにタスク管理が苦手な長男なので、主人は「自分がやったのはタスク管理だけだ」と。
主人は勉強の分からない部分を教えるつもりでいたけれど
ほぼ教えなくてもタスク管理さえやってあげれば、自分から進んでコツコツやれていたそうです。

後から振り返ると
これを機に少しずつ、伴走モードから自走モードに切り替わったような気がします。

勉強合宿から帰ってすぐに
夏期志望校別錬成特訓(カキシ)が開始。
そして組分けテスト同様クラス総取っ替えになる、マンスリー実力テスト。

あれだけ「算数ヤバい。」といっていた長男でしたが
算数の点数は下がっておらず、横ばい。
そして、SAPIXに入塾してからずっと足を引っ張っていた国語の点数が
驚く程上がっていました。

国語は伸びるのに時間がかかる。
焦らず、言われたことを言われた通りにコツコツやっていく。
と先生には聞いていたけれどなかなか上がる兆しが無くて困っていたのが
6年生の夏以降にようやく上がってきた。
以前ならば「何でこんな所でポロポロ落とすんだ…」と思うような漢字の所も、全て◯が付いている。これはキチンと漢字の勉強をしたということ。

周囲のお友達も相当頑張っているので
相対的には現状維持。
一番上のコースに戻ることは無かったけれど
それでも、長男の表情は明るくて
「本当に私立に行きたいのか分からなくなった」と言っていた時の長男は、もうそこには居ませんでした。

私の勝手な推測ですが
カキシで同じ志望校のお友達と切磋琢磨することで、何か良い刺激を受けたのではないかと。
それと、長男が絶大な信頼を寄せるSAPIXの先生方から、何か元気とやる気が出るようなことを言われたのではないかと。

親が何を言っても、先生方やお友達の力には敵わないんですよね。


夏休みが終わり、9月になって
難関校SS特訓(SS:サンデーサピックス)が始まりました。
志望校別講座と、単科講座で
入試に向けて徹底的に鍛え上げられます。
朝から夜まで、お弁当を持って
完全に勉強漬け。
ここからは入試直前までの5か月間、
休まず走り続けることになります。

ある時。SAPIXから帰宅した長男が
驚くようなことを言いました。