素人にはムリ | 得意楽器はボキャブラリー

素人にはムリ

昨日の酔っ払い日記に追記しておきたいことがある。

居酒屋に持ち込んだ酒は、寺田本家の香取という酒である。

この酒はかなり変な酒である。
精米歩合90%。
10%しか米を削らないので糠も残っている。

実際、糠くさい。
糠のニオイの後に酸がワーッと広がる。
つまり臭くて酸っぱい。

だけどなんだかウマイ。

しかし一般には不評である。

その店は常連ばかりなので
みんなにも振る舞ったが、誰も美味しいとは言わなかった。

好きで飲んでいる我々でさえも
刺身には全く合わないのが困りモノである。

一体この酒にはどんな食い物が合うんだろうという話になったが
名案は出なかった。

誰かが糠臭いから沢庵がいいだろうというので女将が切ってくれたが
糠臭い同士だから邪魔もしないかわり
ほんとに糠臭いだけで全く引き立てあうこともない。
何も相乗効果がないのであった。


ところで、この酒を売っている酒屋では張り紙がしてあるそうだ。
「素人には無理ですから買わないでください」と。


んなアホなって思う。
大体、玄人と素人の線引きはどこにあるんだ。

しかし、そう書いておかないとクレームの原因になるのだと言う。

確かに、久保田や八海山を飲んでいる人が間違って買って飲んだら
腐っていると思うだろう。



僕の好きな酒のひとつに「旭若松」という酒があるが
非常に濃厚な独特の味わいの酒である。

これを池尻の某日本酒専門店で注文したところ
「お客さん、分かって頼んでるんですよね?」
と怪訝な顔をされた。

おかしな話だが、気持ちは分からないではない。

旭若松といえば、年間45石の日本一小さな蔵と言われている。
そんな希少な酒をその価値を知らない客に飲ませて
文句を言われようものなら、これほどつまらないこともないのである。


話を元に戻す。

この精白90%の純米酒が
うまいかどうかは人それぞれの感じ方次第である。

大事なのはこういう酒を造る人がいることだと思う。
こんな酒を造るのはとても難しいはずであり
しかもその苦労の対価としてできるのは全く売れそうにもない酒である。
商売にならないこんな酒をわざわざ造るのは
よっぽど変わり者の杜氏なのだろうと思うが
一見無駄に見えるような挑戦もする人がいなければ技術は発展しない。

寺田本家は酒造りに対する考え方は
サイトに丁寧に書かれているので興味のある方は見てもらいたい。
http://www.teradahonke.co.jp/

酒蔵は減少の一途を辿っているが
淘汰されるほとんどの蔵は自業自得だろうと思う。
毎年、何も考えず教わったやり方で造り続けても
美味くない酒が急に美味くなるわけではない。


そんなことを伝えたくなったので。


読んでくれた方、ご苦労様でした。
感謝します。