- 伊坂 幸太郎
- 重力ピエロ
★★★☆☆
まあ、面白くはあった。
気の利いたセリフが多い。実生活でそんなセリフがポンポン出てくるとも思えぬが、そこはそれ小説だからアリではある。が、そういう洒落たセリフを除いてしまうと、この小説に何が残るのだろうとも思う。「ああ、面白かった」で終わってしまって、滋味がない。
でも、この小説に深みを求める方がおかしいのであって、これはこういう「楽しい小説」だと思って読めばいいだけなのである。
最近、重い本が読めない。「重い」というのはもちろん重量のことではない。自分の心の中の醜さや弱さなどに対面せざるを得ないような、そんな「重い」小説のことである。たとえば「沈黙」はそういう本の1冊なんだろう。いつか読みたい、読まなければならないと思って、もう十年以上経つ。そういう本を避けているのである。