2023728日、立川祐路が引退を発表した。

1週間くらい前に本人から電話があり、立川祐路と表示された画面を見た時、何とも表し様がないくらい嫌な気がした。


僕がトヨタ陣営に移籍してきた2001年シーズンから、ライバルであり、目の上のタンコブであり、戦友であり、友であった立川祐路の存在は、僕が引退してからは知らず知らずのうちに自分を彼に移し替え、彼の活躍を自分のことの様に喜ばせてくれていた。


向こうがどう思っているかは知らんけど、勝手に友と表現させて貰った僕と立川祐路の場合は、性格が合ったわけでもなく、普段からプライベートを共にしていた訳でもなく、二人の間の強烈なライバル意識と、トヨタを背負う責任感、開発テストでの共同作業の中で、相手が優秀な故に認めざるを得ないプロとしての存在への尊敬、そこから生まれている。


立川祐路が居たから、ずっと負ける恐怖に打ち勝つ為に努力したし、立川祐路よりも上のリザルトに拘り続けた。


今の僕は、本山哲無しでも、道上龍なしでも存在し得ないと思いますが、立川祐路無しではこの領域に到達出来なかったと自信を持って言える。


頑張っても頑張っても、僕の目の前に居た立川祐路。

勝った安堵のすぐ先で僕を追い越していく立川祐路の存在。


その才能、そのスピード、その強さ、、、

彼が操る#38GTマシンは独特なオーラを纏い、ファンを魅了し、ライバル達を飲み込んで行った。


もう二度と現れることの無い、スーパーGTの、トヨタの、日本のレース界の宝である。


レース界もどんどんアスリート化していく昨今において、この歳まで第一線で戦い続けてきた彼と、誰もが知り得ない想像を絶する彼の葛藤に心から敬意を表したい。

そしてそんな彼を支え続けてきたご家族に、立川祐路ファンの一人として感謝申し上げたい。


でもね、、、

僕はもう一度、もう一度で良いから、#38が独特なオーラを纏い観客を魅了し、ライバル達を飲み込んでいく立川祐路のレースを観たい。

貴方にはそれを魅せる神が与える巡り合わせと実力、そして引退までの数戦というチャンスが有る。


アスリートとして、レーシングドライバーとして、その最終レースの前に堂々と引退を発表できる選手がどれだけ居る?


選ばれた特別なレーシングドライバーとして、スーパーGTの舞台で観客がワクワクドキドキする走り、そのバトルに僕が嫉妬するレースを魅せて欲しい。


お疲れ様でしたは、最終レースが終わるまで取っておきます。


光り輝くあの立川祐路の走りをもう一度観たい者は、サーキットに集合や!


立川祐路よ

まだまだ、張り切って行こう!