第4話 ーコロナ渦中の今だからできること ー 

 

1、怒るのは当たり前でしょう(5月5日、緊急事態宣言の最中)

 

 5月の連休中とは言え、コロナ渦中にあって

外出を控えなければならない事はわかっています。

そして、お家の中で子育てしなければならないこともよくわかっています。

だけど怒るのは当たり前でしょう。

 

 5歳児のお兄ちゃんと3歳児の弟がケンカをします。

1歳児の妹はお母さんの買い物について行くと言って泣き止みません。

怒るのは当たり前でしょう。

 

 ご主人は家でのテレワークで、

『仕事をしているんだ。うるさい。』

と言って大声を出します。

怒るのは当たり前でしょう。

 

2、 家族で今だからできること

 

 発想の転換をしましょう。

遊び心とユーモアの精神でいつもと違う生活をましょう。

お子さんは退屈しているのです。

お子さんだけで自由に遊べと言っても、

幼稚園や保育園のように遊具はないし、

お部屋は狭いし、困っているのはお子さんの方です。

 

 今年の『こどもの日』は緊急事態宣言の最中です。

大人がリーダーシップを取ってできることを考えましょう。

外には出れないし。

たまたま家族全員揃ったのですから。

日頃できない家事をみんなで取り組む提案です。

 

 張り切ってお父さんは号令をかけましょう。

『お正月が来ると思って、隅から隅まで家中きれいにするぞ~!』

『それぇ~かかれ!』と。

この気合の入ったリーダーシップが必要なのです。

お父さんのテレワークはお子さん達がお昼寝をしてからにしましょう。

 

 子ども部屋から始めましょう。

大切なおもちゃを残して、

いらなくなったおもちゃはお子さんに考えさせて捨てましょう。

お子さんにとっておもちゃは興味のある課題ですから乗ってきます。

残すおもちゃと、捨てるおもちゃに迷いますが、

あわてさせずに見守りましょう。

 

 溜まっていたお子さんの写真は一人ひとりの

アルバムに親子で貼りましょう。

この作業もあわてずに、親子の会話を大切に、

十分に懐かしみながらです。

その親子の交流する心のリズムが、

家族を一つにするコツなのです。

 

 ベットも力を合わせて動かして、

埃だらけの床は掃除機をかけて、

バケツに水を汲んできて、

雑巾がけをしてキレイにしましょう。

夢中で働いて、

汗もかいてきて、楽しくなってきましたね。

 

 玄関のお掃除もしましょう。

靴箱から靴も長靴も全部外に出したら、

しばらく眺めて、

「捨てる」「捨てない」の取捨選択をしましょう。

家族で迷いますが、迷う会話が大切な心の交流になるのです。

あわてない、あわてない、明日もあるのですから。

靴箱の中の泥も掃き出して、

雑巾がけをして中も綺麗にしましょう。

 

 今度は、お母さんの出番です。

お母さんのリーダーシップも大切です。

気合いを入れて役割分担の号令をかけましょう。

お掃除は終りです。

 

 サア!みんなでおいしいお昼のお料理を作りましょう。

お父さんはごはんを炊き上げる人。

ニンジン・玉ねぎ・じゃがいも・豚肉は

お兄ちゃんと弟に切ってもらいましょう。

不揃いに大きく切ったり、小さく切っても文句は言わない。

 

 ありがとうと笑顔で言葉をかけましょう。

さぁおいしい肉じゃが料理ができました。

よく働いてお腹も空いたので、

『美味しい 美味しい』とみんな幸せになりました。

 

 発想の転換には、

遊び心とユーモアでの盛り上が大切です。

 

 励みになるようなお父さんの、

おどけた『それぇーかかれ!』の号令と。

 

 お母さんの芝居がかった、

『役割ふりわけ』の掛け声が必要です。

 

 閉じ込められた憂鬱なコロナ生活の転換を演出するには、

サイコドラマ(心理劇)の応用も必要です。

恥ずかしがらずに楽しく家族劇場で盛り上がりましょう。

 

3、ユーモアの心が大切です

 

 ユーモアの心がなければ子育ては楽しいものになりません。

もともと子どもはユーモアでできていると考えてください。

子どもの精神は、自己中心で、主観で、感情で生活しています。

メルヘンの世界に生活している宇宙人です。

 

 砂場で遊んでいれば砂がプリンになります。

棒切れがあればマシンガンに見立てて戦隊ものが始まります。

ままごとではコップに入れた泥水がコーヒー牛乳です。

どろんこ遊びをしながら『チョコレート工場だ!』と大喜びです。

赤い布をまとえばたちまちお姫さまになりますし、

プリキュアにだって早変わりします。

 

 『子どもはイイネ!』と受容できる大人はユーモアのある人です。

まず大人は子どもを理解しようとする人にならなければなりません。

『おおきなかぶ』と言う有名な絵本があります。

おじいさんが引っ張っても、

お婆さんが引っ張っても、孫が引っ張ってもかぶは抜けません。

なんとしたことでしょう。最後にはイヌもネコもネズミも引っ張るのです。

驚きの結末です。

 

 現実的に・客観的に考えたらおかしな話です。

そこで改めて大人にもユーモアの精神が必要なのです。

お子さんははじめからメルヘンの世界にいて、

主観で考えていますから何の不思議もないのです。

 

 大人が子ども心を忘れたら叱ってばかりいることになります。

そして、大人社会に生きる大人は、大人の都合から、

『怒るのは当たり前でしょう』と居直ってしまいます。

今は、コロナの渦中でシロクジチュウ親子一緒に暮らさなければなりません。

それではお子さんも大人も疲れはててしまいます。

 

4、愉快なエピソード

                  

 私の友だちのおばあさまからコロナ渦中の、

お孫さんとの楽しい家事のニュースが届けられました。

 

《我が家の孫娘(4歳児)のエピソード》

 

エンドウ豆をバァバァとむきました。

ざるの中のたくさんむいた豆を見て、

何を思ったやら。

ズボンとパンツをおろしました。

そのままザルにおしりを入れてすわろうとします。

 

バァバァ:あれっ? ヒナちゃん。

ヒナちゃん:うふふ。

 

バァバァ:なにしてるの?

ヒナちゃん:いいことよ。

 

おもむろにザルにおしりを入れてすわり・・・クリクリ。

立ち上がって。

 

ヒナちゃん:みてみて。

       ウサギさんのうんちがヒナちゃんのおしりから落ちてくるよ。

 

バァバァ:えっ?

ヒナちゃん:ほらね。

 

ハダカのおしりにくっついた豆の粒を手で落としながら言いました。

 

ヒナちゃん:ウサギさんのポロポロうんち。

       おしりからでるんだよぉー。

 

ご機嫌なヒナちゃんでした。

おかしくて笑い転げたママとバァバァでした。

 

バァバァ:もちろん豆はその後でゆがいていただきました。

 

パパ:ビールのおつまみになりました。(以上)

 

 

5、まとめ:コロナ渦中を楽しく過ごすには

   ー今年の「子どもの日」は緊急事態宣言にの最中でしたー

 

 皆さん、このエピソードを聞いてどう思われましたか。

みなさんの家庭にこのエピソードが生まれる世界がありますか。

コロナ渦中の息苦しい毎日が、一気に笑えてフッ飛びましたね。

 

 3密は守らなければならないから、

残されている居場所は家庭しかありません。

この微笑ましいエピソードから、

どのように暮らしたらよいかと言う、

大切なヒントを教えていただきました。

 

 コロナ渦中にあっても、

『お子さんから学ぶユーモアの哲学』が、

しっかりと根付いている子育ての姿ですね。

皆さんにも、このユーモアの哲学を見習ってほしいと思います。

 

 『叱らぬ生活と教育(霜田静志著)』と言う有名なご本があります。

私を幼児教育の学者に導いてくれた大切なご本の1冊です。

ヒナちゃんのコロナ渦中の家庭教育のニュースに触れて、

霜田静志先生のご講義を受けた日のことがありありと蘇り、

感激のあまりヒナちゃんとご家族の許可を得て、

私のブログに発表させていただきました。

 

 なお、私は『名のない遊び(フレーベル館)』という

本を書きました。

どこのお子さんも、たくさん『名のない遊び』を創作します。

ヒナちゃんの遊びもステキな『名のない遊び』です。

 

 『名のない遊び』とは。

それは芸術家が作品を創作するプロセスと変わりません。

また、科学者が新発明・新発見する試行錯誤と変わりません。

お子さんの遊びには創造すると言う、

芸術と科学の『芽ばえ』が含まれているのです。

 

 『名のない遊び』を親や、周りの大人に喜ばれることで、

『私は受け入れられている』

『私は認められている』

『私はありのまま愛されている』と、

温かいエールが心の中にヒビキわたり、

自己肯定感情が育まれていくのです。

 

 そのような体験の積み重ねから、

無意識のうちにも自分を粗末にせず、

自分に自信を持ちます。

 

 一番大切な自分自身に誇を持つ、

『自己肯定感情』が人格形成されていくのです。

 

 次回の第5話では、

コロナと共存する『名のない遊び』の大切さ

についてお話します。(つづく)