ジュッペちゃんの親愛なる全国の保育・幼児教育の皆様へ      

 

 ::::退職にあたってのご挨拶::::

 

ジュッペちゃんは今年度で大中里こども園(旧・大中里保育園)を退職します。

 

当園は2006年の創立から15年目を迎えようとしています。

 

思えば初代園長塩川寿平(7年間)+名誉園長・嘱託(7年間)=14年間。

 

そして妻の塩川恵美子(副園長7年間+2代目園長7年間)=14年間。

 

この2006.4~2020.3の14年間で152名の卒園児を育てました。

 

14年間~夫婦二人三脚で【『理念:大地保育哲学』の野中こども園(創立1953年)の同じ法人姉妹園として】、新しく『理念:大地保育哲学』の大中里こども園を経営して参りましたが、当園も15年目に入る2020.4.1~からは、3代目園長に引き継がれる記念すべき年となりました。

 

さて、私はこれからどう生きるか。

 

塩川寿平は教育小説家になります。

 

 創立以来67年の『大地保育の哲学』と『自由保育(=子ども主体の保育)』の保育史を後世に伝える著作活動は、父塩川寿介と母塩川豊子の創った野中保育園(1953年創立)のもとで育ち、大学で保育・幼児教育の教師となり、研究者になった私の使命と思っています。

 

いま、私は81歳となり大中里こども園の現場を去り、2020年4月1日からフリーの身となります。これからは生涯現役の教育小説家を志し『(仮題)大地保育ものがたり』を書きます。

 

 お手本は、①「二十四の瞳(壺井栄) 初版1952年~」と、②「兎の眼(灰谷健次郎) 初版1974年~」と、③「窓際のトットちゃん(黒柳徹子) 初版1981年~」の3冊です。

 時代ごとに私の大地保育魂にギアを入れてくれた文学であり、教育小説です。そしてこれほど 教育の在り方に大きな影響を与え、国民的世論を啓発した文学はありません。 

 

 まず手はじめに、私の主催する大地教育研究所で、この3冊の教育小説を輪読し合う小さな文学サークルを始めます。コーヒーを飲んだりクッキーを食べたりしながら、ひたすら3冊の文学書を何回も何回も読み返し、1年ほど過ごします。 これからの私には時間がたっぷりありますのでそのようにします。文学サークルの仲間も人生経験もたっぷりで、時間もたっぷりある方々を募ります。 

 

 その後に、この3冊のどの文脈に感動したかを語り合い感想文をまとめます。同時に野中保育園=野中こども園+大中里保育園=大中里こども園の創立以来~大地保育67年間に発表された新聞・雑誌・テレビ放送・随筆・著作・保育専門誌・映画・VTR等の内、既に文章化された大地保育に関する資料のすべてを俯瞰し、評価の高い保育実践と、文学サークルの仲間が感動したオリジナルな保育内容の感想文をまとめます。 

 

 この3冊の文学書の感想文と、大地保育の感想文の共通点を総括した上で、ドキュメンタリー風フィクション教育小説『(仮題)大地保育ものがたり』の構想に取り組みます。

 『理想的な教育の姿』を発表するものでフィクション小説になりますが、日本の教育、世界の教育、未来の教育、大地保育100年後の姿を、学際的に想定しながらのドキュメンタリー風フィクション教育小説『(仮題)大地保育ものがたり』を、ブログで10年間~私が90歳になるまでコツコツと継続して発表します。 

 

 イマドキの 本屋さんは売れない文学小説は刷ってくれませんから、発表は塩川寿平のブログ(https://ameblo.jp./juhei79)でコツコツと発表します。よろしくお願いします。

 

 なお、運よくどこかの出版社が取り上げてくれて本になりましたら、続けて戯曲にしてテレビドラマも創り、教育のあり方についてテレビ放送により世に一石を投じる所存です。

 

 東京発信ではなく、宮沢賢治は岩手から文学により国民的世論を起こしました。私もオリジナルな文学『(仮題)大地保育ものがたり』で、地方から『国の教育』に一石を投じたいと考えています。 

 

 大地保育の実際は、

 自然環境と関わる『遊びと生活から生まれるハプニングとユーモアの精神』を創造的に受容する保育で、農村地帯の田んぼから出発した大地を土台に展開される「子ども主体の保育(保育所保育指針)」と「環境による教育(幼稚園教育要領)」に基づく、自由でのびのびとした創造的保育の実践です。

 特記: 塩川豊子の好きな言葉『ハプニング』と 『日々が新たにユーモア溢れる生活(著書:写真・論文集~大地保育p21)』

 

 大地保育の名称を最初に使ったのは塩川豊子(1915~1999年)で、地主(旧庄屋「東の塩川本家」)の田畑で、私たち家族が総出で田植えをした「田んぼ(=大地保育の語源)」と、祖父の残した果樹園「柿の木(=社会福祉法人柿ノ木会の語源)」で「遊び」と「生活」を中心に、戦後間もない昭和28年(1953年)に開園した野中保育園(静岡県富士宮市)の保育実践を理論化したものです。 

 

大地保育とは、

『汲み尽くすことのできない宝庫である大自然に挑む中で、子どもたちが育てられていく保育(塩川豊子園長)』と定義しました。

  また、 野中・大中里こども園就業規則『第1条の3=「大地保育」を守り発展させることを目的とする』『第2条=職員は、社会福祉事業の発展につとめ、大地保育を推進しなければならない 』『第15条(大地保育の理念)=保育の目標「何をするにも、自分で開拓できる子」』と明記。 

 

 

 戦後まもなく開園した当園は、新生日本の民主主義と農村全体で子どもを見守るモラルの高さに支えられながら、食料増産に汗する農民と一体化する保育園に、保育者も喜びを感じながらワンチームで働きました。

 また、農村文化を色濃く取り入れた特色ある『大地保育』は、日本中から見学者が多く訪れるようになり、広く日本中に知られて行きました。 

 

 広まる要望を受けて大地教育研究所は23年間にわたって、全国の保育者に応えて200人規模の『大地保育セミナー』を主催し、共に学びつつ実践と理論を一致させる勉強会に力を入れました。

 大地保育の質の向上のため「自由保育・障害児保育理論(平井信義・石井哲夫等に学ぶ)」「保育と創造美育教育理論(久保貞次郎等と全国創美セミナーや絵画展)」「受容と精神解放の理論(ASニイルと霜田静志・堀真一郎)」「体験学習の理論(Jデューイと堀真一郎)」等々の勉強会を真摯に行いました。

 

 のびのびとした大地の遊び環境を保障し、園外保育も含む大自然に向かって、園児たちが自発的に「遊び」と「生活」に挑戦し、「自ら主体的に『個性』と『能力』を引き出していく大地保育哲学」の勉強会です。

 

 塩川寿平の大地保育三部作『どろんこ保育』『名のない遊び』『大地保育環境論』(フレーベル館出版)は、発達過程を受容して「自己肯定感情」や「自尊心」を育てる内容で、時代に左右される事のない未来永劫の教育真理です。

  

人間教育の不易・流行について、『不易=変わらないもの』と『流行=変わるもの』があります。AIやITの時代になっても「感情こそ人間の証し」であり、「人間の本質」です。特に、アニミズムの発達過程を生きる、自己中心期の乳幼児には「受容と感情解放の教育」は不易です。 

 

 私は大地教育研究所所長として23年間『大地保育夏期セミナー』 を開催しました。全国から参加していただいた多くの保育者と、また大学で教鞭をとった40年間余の教え子との交流を大切にしながら、全国の同じこころざしの保育者と連帯しながら、私は生涯現役の保育研究者としてドキュメンタリー風フィクション教育小説『(仮題)大地保育ものがたり』を啓上し、保育・幼児教育の理想の姿を国内外に啓発していく所存です。   

 

 結びになりますが、退職にあたって私の心中と、これからどう生きるか お手紙しました。

これからも これまで同様に よろしくお付き合いねがいます。   

塩川寿平