チョムスキーの翻訳本の中には、翻訳がひどくて理解しにくい本が何冊かある。
『チョムスキー、世界を語る』は、翻訳がしっかりしていて、チョムスキーの考えを知るのに適した本だ。

本書にはネオ・リベラリズムやWTOなど、チョムスキーのいろいろな考えが書かれているのだが、
一番重要だと思う箇所を引用したい。
「わたしは自分の言うことを、ただ一方的に人々に信じ込ませるというようなやり方は嫌いです。それに人々が党の方針とか、わたしが正体を暴いているもの - 大学の権威ある先生たちとか、メディアとか、国家公認の宣伝工作員とかいったもの - に黙って従うのもやめてほしいですね。
わたしとしては、自分が何を正しいと信じているのかを伝える。そこに聞き手めいめいの自分なりの判断を加えてもらい、自分自身の知性をはたらかせてもらう。そうすればきっと、政治や社会の世界でわたしたちの目から隠されているものが、いろいろと見えてくるはずだ。
しゃべったり、ものを書いたりすることを通じて、わたしが語りかけようとしているのは、そういうことです。ひとびとがこの挑発に乗ってくれて、自分自身が知りたいという気を起してくれたら、そのとき、わたしはなにかしら役に立つ仕事をすることができたような気がします。」

自分もブログで自分の意見を書いているが、自分が絶対に正しいとは思っていない。
別の意見を聞いたり、これまで知らなかった事実を知るくことによって、
今までと違った考え方をすることになるかもしれない、と思っている。

同じ本を読んだとしても、読む人によって違った受け取り方をするだろう。
自分の意見に反対意見を持つ人も当然いると思っている。

それでも、自分が紹介する記事をきっかけに、それぞれの人が問題を考えて欲しいと願ってやまない。

チョムスキー、世界を語る/ノーム チョムスキー
¥2,310
Amazon.co.jp