民放テレビ局が「貧困問題」を扱うと、なぜか海外の最貧国で暮らす子供たちを取り上げることが多い。
本書第10章で取り上げられているが、日本には「貧困問題」なんて存在しないかのようだ。

本書は、2007年3月24日に反貧困ネットワーク が開催した
「もうガマンできない!広がる貧困 人間らしい生活と労働の保障を求める3・24東京集会」
をまとめたものだ。


本書では、シングルマザー多重債務被害者障害者高齢者派遣労働者スポット派遣過労死外国人DV被害者の貧困問題が取り上げられている。
これらの被害者の人たちの声と、それを支援する専門家の方の解説によって、これらの問題が浮き彫りになっており、読んで欲しいお勧めの一冊に仕上がっている。


本書に書かれた「もやい 」の湯浅さんの言葉を引用したい。
人は簡単に「命を粗末にするな」と言う。しかし、周囲が徹底して自分の生を大切に扱ってくれない社会で、いったいどうしたら自分の命を大事なものに感じることができるというのか。
日本のマスコミで取り上げられなくても、「貧困問題」は日本に、自分たちの身近に確実に存在している。
「貧困問題」を解決せずに、自殺や犯罪被害のない社会にしていくことができるだろうか。


もうガマンできない!広がる貧困―人間らしい生活の再生を求めて
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