秋葉原殺傷事件と『ワーキングプアの大逆襲』

6/8に起こった"秋葉原殺傷事件"。

民放の報道番組や読売新聞 をはじめ、視聴率や販売数の稼ぎ時とばかり、大々的に報道している。
その報道の多くは、犯人の異常性や凶悪さを強調するものばかりで、
「なぜ犯人が絶望し、犯行に至ったか」まで踏み込んだ報道は皆無と言っていい。


犯人が人材派遣会社・日研総業株式会社の社員として、関東自動車工業株式会社に派遣されていたこと。
リストラを通告されており、朝に自分のつなぎがないことに激怒したこと。
これらの報道を知り、6/7まで読んでいた『ワーキングプアの大逆襲』をすぐに思い出した。

2章には、日野自動車が人材会社14社から約1100人の労働者を「偽装出向」させていた事件ををきっかけに、
日研総業から日野自動車に派遣されていた和田義光さんと池田一慶さんが「日研総業ユニオン 」を立ち上げて、団体交渉していく話が掲載されている。


もし"秋葉原殺傷事件"のような事件を防ごうと思うのならば、ネット上の書き込みを規制するだけではなく、問題の本質を追究するべきだ。

卒業後、転職を繰り返し、派遣社員をしていた犯人が、自分の境遇にどれだけ絶望していたか。
派遣社員が感じている絶望感や怒りは、マスコミに努める高給取りには想像できないだろうが。

孤立していた犯人はネットに共感する人間を求めたが、帰ってきたのは悪意ある反応だった。
この書き込みが、犯人の孤立感や絶望をさらに加速させたであろう。


怒りが自分の内側に向かえば、"自傷行為"や"自殺"を引き起こす。
若者の自殺が増えているし、自傷行為をする若者も多い。
怒りが自分の外側に向かえば、"秋葉原殺傷事件"のような自暴自棄の犯罪につながる。
これらのことをすべて当人達の責任にできるのだろうか？

7人もの尊い命を失わせた犯罪に対しては同情の余地はなく、極刑が当然と思う。
しかし、派遣社員であった彼の絶望感をすべて彼の責任にすることができるのか？


派遣社員で働く若者がどのような状況に置かれているのか、『ワーキングプアの大逆襲』や
これまでに紹介した雨宮処凛さんの本を読み、多くの人にこの問題の深刻さを知って考えて欲しいと思う。

ワーキングプアの大逆襲―労働争議最前線からの〈格差“使い捨て”社会〉の処方箋! (Yosensha Paperbacks 31)/設楽 清嗣

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マスコミだけで"秋葉原殺傷事件"を知ろうとせず、以下のブログも参照して欲しい。

・ はてな「何かごにょごにょ言ってます」
　　【秋葉原無差別殺傷】人間までカンバン方式
・ ブログ「天漢日乗」
　　秋葉原通り魔殺傷事件(その6)容疑者は日研総業の派遣社員で裾野市にあるトヨタグループの関東自動車工場勤務 6月一杯で辞めるよう通告を受ける
・ ブログ「移譲記章」
　　マスゴミ歓喜！秋葉原通り魔の加藤はロリコンでヲタ + 陰謀：トヨタの圧力？加藤の職業がトヨタ系の工場勤務（派遣社員）から不詳に + 喜ぶ韓国人