「その、神経何とかで人を殺したのはいつからなんだ?」
ハンドルを握ったままマキが尋ねた。
「ああ、ガキだった頃、いじめにあってた時からだなぁ。」
助手席に乗って前を向いたままユウキが答えた。
「今思えば、それが連邦同盟にスカウトされるきっかけかもね。」
「ふーん。」
マキは気のない返事をする。
「そういえば、この国じゃみんな、監視カメラと透視能力で監視されてるらしい。」
ユウキが以前、革命軍の超能力者と戦った時に分かったこと。
「知ってた?」
「少しはな。超能力技術は国家機密だ。当然だろう。煙草吸って良いか?」
マキが言うと、ユウキはどうぞ、と答えた。
マキは煙草を一本くわえて、ライターで火を点けた。
「ふー。」と煙を吐く。
「それで、どーするの?テロだけど、犯人は自爆で死亡ってことで収まるんじゃない?」
ユウキは超能力者ではあるが、そういうことには詳しくない。
そしてマキは、連邦同盟から与えられた任務で場数を踏んでいる。
マキの判断に頼るしかない。
「そうだな・・・・・・。
動機は主義主張。連邦同盟の対テロ活動への報復。
拠点は近くのアパートで、実行犯は一人。
仲間・共犯者がいるかはアパート内の生活痕跡を現在鑑識中。
携帯電話が押収されているので、通話履歴を解析中。結果待ち。」
マキがすらすらと無表情で答えた。
「仲間がいるなら特定して捕まえないといけないね・・・・・・。」
ユウキが相槌を打った。
携帯電話の通話履歴が欲しいね。と付け加えた。
うん。とマキも相槌をした。
「後は爆発物や、あるいはそれを製造するための材料や器具の特定かな?」
ユウキはできる限りの考えを言った。
「それも鑑識が調査中。」
マキが答える。
「すぐには動けないか・・・・・・。テロも今日起こったばっかりだもんね。」
ユウキがため息をしてから言った。
「行方不明のジャーナリストも心配だ。」
とユウキが言うと、マキも「うん。」と頷いた。
「聞き込みでもする?」
ユウキがマキに確認するような感じに言った。
「それも捜査本部がやってると思うけどな。
まあ、でもこっちも命令受けてるし、やってみるか。
「決まりだね。運転任せるよ。」
「ああ。」