実験から数日が経ち、ユウキは研究所管轄の自宅で待機していた。

朝食を食べるユウキ。

食事といっても、相変わらず健康食品の組み合わせだが。

食事が終わると、給料で買ったパソコンと向かいあっていた。

ユウキの趣味は音楽鑑賞とプログラミングだ。

ウォークマンで音楽を聴きながらプログラムを書く。


悩み事は、音楽を聴いてるせいで電話に気づきにくくなることだ。

だが、今回はそれを回避することが出来た。


ピリリリリ。


スマホの着信音が鳴る。

表示を見た。

ユイからだった。


ユウキは電話に出た。

「もしもし?」

確かにユイの声だった。


「こんにちは。」

ユウキが挨拶する。


「ユウキ君、突然でごめん。新しい命令がきたよ。」

「どんな命令ですか?」


「マキっていう人と一緒に、国内の革命軍の調査しろってことだけど。今、そっちに向かってる。

クスリも渡しておいたから、ちゃんと受け取ってね。」

「了解です。」

ユイは、気を付けてね。と言って回線を切った。


「さて。」

準備をしなくては。

持っていくものは・・・・・・。


ウォークマン。

財布。

鍵。

スマホ。

ミニパソコン。

読書用の本を適当に一冊。

非常食。


このぐらいだ。


それから30分くらい経って、


ポーン。


玄関の呼び出し音が鳴った。

映像を見る。

少し長めの黒髪に青いジャケットにジーンズを履いた細身で長身のクールな女性が映っていた。

一人だし、怪しい感じはない。罠ではないだろう。


「はい。」

「マキです。わかりますか?薬を届けにきました。」

「はい。今行きます。」


ユウキは玄関を開けた。

インターホンで見た女性と一台の車が見えた


「こんにちは。」

「どうも・・・・・・マキさん?」

「ああ、そっちはユウキさんだよな。」

「はい、よろしくお願いします。」

「こちらこそ。じゃあ、行くか。」

「はい。」

「私が運転するから、助手席に乗ってくれ。」

「はい。」

「あとさ、これからコンビを組むんだから、敬語はいらないよ。」

「ああ、わかった。」


二人は車に乗る。

するとマキが、

「これ、預かってきたクスリ。」

「あ、どうも。」

「超能力者なんだってね。」

「ああ。」

「表向きはどうなってる?私はこれなんだけど。」

と、マキは言いながら、警察のバッジを見せた。

「俺は警備会社の社員。」

マキは微笑した。そうか。


「で、どこから始める?」

ユウキが尋ねる。

するとマキが数枚の書類を差し出した。


「これって・・・・・・。」

見覚えがあった。

確かテレビで・・・・・・。


「そう。行方不明になった戦争ジャーナリスト。彼の痕跡を探す。」

「ただのジャーナリスト一人を連邦が、なぜ?」

「さあね。でも、やれと言われたらやらないと。」

「・・・・・・。」

ユウキは少し違和感を感じた。



「まずは彼の自宅と、親類に聞き込みでも始めましょうか。」

マキは表情は変わらず、少しふざけたように言って見せた。


「ああ・・・・・・。」

ユウキは気のない返事をした。


ここから二人のドライビングが始まった。