カタナは自分の職場、監視システムのモニタールームにいた。


「残念でしたね。師匠さんのことは。」

タカギが本当に残念そうに言った。

「大丈夫です。仕事を続けましょう。」

カタナは平然として言う。

「本当に大丈夫?彼女まで巻き込んじゃって。」

ミナも心配している。

「はい、大丈夫です。彼女って言っても、一緒に食事にいったりするだけですから。」

(それを付き合ってるっていうんだけどなー・・・。)

ミナは心の中でそう呟いた。


(それにしても・・・プロジェクト2015ってなんだろう・・・。)

カタナは師匠が最後に残した言葉が頭から離れない。

(どうもおかしい。なにがおかしいのかわからないが・・・。)

かつて師匠に言われたことがある。


「怪しいと思ったら8割が黒です。」


(怪しいといっても、この単語だけでは・・・。)

師匠はそれに気をつけろと言っていた。

(師匠ほどの超能力者が気をつけなければいけないこと、か?)

すると


(大丈夫だよ、カタナ・・・。大丈夫・・・。)


「彼女」の声が聴こえた。

カタナはなにも聴こえてないフリをしながら

(ありがとう・・・。そうだね・・・。キミを信じる。)

と、心の中で感謝した。


そしてモニタールームで外からの呼び出し音が鳴った。

「お、誰か来たぞ。」

「誰かな?」

「・・・。」


「ああ、技研の理事長の娘さんだ。通そう。」

「入室、許可します。」

「・・・。」


「こんにちは、超能力技術研究所の理事長代理ナツキと申します。カタナさんはいらっしゃいますか?」

「俺です。」

「どうも、今から超能力者カタナさんのサポートを頼まれたナツキです。よろしく。」

「・・・。よろしくお願いします。」

「私は、主に薬物投与や能力の使用許可と能力の情報収集をやらせてもらいます。」

「わかりました。よろしく。」