「師匠!師匠!しっかりしてください!」
カタナは必死に叫んだ。
「師匠さん・・・!」
アヤメも、血まみれの師匠の手を握る。
「私は・・・死ぬでしょうか。」
「何を言ってるんですか!」
「そうですよ!師匠さん・・・死ぬなんて!」
「自分のことですから・・・わかるのですよ。フフ・・・まったく、世話のかかる弟子です。」
「そうですよ!世話のかかる弟子です。まだ、あなたの世話が必要なんです!」
「フフ・・・母性かしらね・・・カハッ。」
師匠はさっきから血を吐き続けている。
これでは体の中の血液が足りなくなって健康を保てなくなる。
「あなた・・・ごめんなさい。婚約していたのに、私は戦場であなたを見捨てた・・・。」
「師匠・・・。」
「あ・・・。」
「どうしたんですか?師匠・・・。」
(カタナ、この人、私を見てる。)
「え・・・。」
「私にも見える・・・そうか、そういうことだったのですね。あなたも・・・もう死んでて・・・。」
「師匠さん!何を言ってるんです!」
「え?」
「まったく、自分が生きるために戦うことしか出来なかったのに・・・。
いま・・・さら・・・誰か・・・を、守れる・・・なんて・・・。」
「カタナ、気をつけなさい。・・・プロ・・・ジェクト・・・2015・・・。」
「?・・・師匠?」
そして師匠と呼ばれる超能力者は、死んだ。
兵器として扱われ、正義のために大勢の人間を殺し、平和のために戦ってきた・・・。
一人の人間の末路だった。