カタナは師匠が運転する車に乗っていた。カタナは免許を持っていない。
「それで、師匠、俺たちはどこへ向かっているんですか?」
カタナは問う。
「あなたの職場です。正確には表向き廃工場で本当は、この国の監視カメラのモニタールーム。」
師匠はさらりと答えた。
「なるほど。そこで俺はカメラにうつる革命軍を能力で殺していけばいいんですね。」
「そういうことです。私はその監視役。あ、ここです。つきましたよ。」
確かに、がらくただらけで錆付いたボロボロの廃工場だった。
しかし・・・。
(カタナ、見られてるわ。)
頭の中に「彼女」の声が響く。
「・・・。」
確かに、誰もいない廃工場には必要ない監視カメラがカタナを見ていた。
「さあ、こちらです。」
カタナは師匠の後についてゆく。
そこには、ただの廃工場にはいらないようなカードキー式の電子扉があった。
「ああ、そうでした。あなたにこれを渡すのを忘れてました。無くさないように。」
カタナは扉のカードキーを受け取る。
無くしたら大変なことになるな、と思った。
そして扉を通過して地下へ進む。
そこには、大きなモニターとケーブルやら配線やらがたくさん並ぶ部屋があった。
そして、知らない男性と女性がパソコン画面に向かって何らかの操作を行っていた。
「あ、どうもこんにちは。あなたがカタナさんですね。」
男性が話しかけてきた。
「僕はタカギ。女のほうはミナ。ここのシステムの管理を行っています。よろしく。」
「ミナです。よろしくお願いします。」
「はい、カタナです。よろしくお願いします。」
「さっそくだけれど、仕事があるんだ。」
タカギはモニターのひとつを指差した。
「そこのカメラが1時間ほど前にとらえた。二人の男が銃器やら爆薬やらを持ち込んだ。」
カタナは画面を見た。
「今のところ誰かと接触したり、ブツを外へ運ぶ形跡はない。そこでキミの出番。
画面に映れば殺せるんだろう?張り込んで外に出たところをやってほしい。」
「わかった。」
カタナはとくになんでもないように返事をした。
でもカタナは待つのが嫌いな性分だったので、面倒くさいと思った。
(これがいわゆるドラマで見たような刑事の張り込みというやつか。)
(あんパンと牛乳でも買っておけばいいのかな、食べるならこしあん派だな。)
と、人を殺す前にのんきなことを考えていた。