「俺は、キミを殺す。」
カタナは自分しかいない部屋で言う。
それはカタナにしかわからない存在、「彼女」に対してだ。
(良いわ、カタナ。・・・来て。)
カタナは、部屋に隠してあるナイフを手にした。
自分の体中に傷をつけていることが発覚してから、ナイフはすべて親に没収されたが。
今持っているナイフは俺と「彼女」以外は知らない。
「彼女」が自分の目の前にいることを感じようとした。
(そう、そうやって私を実物に近づけて・・・。)
そしてカタナは空想の「彼女」に向かってナイフを一閃。
まずカタナは、「彼女」の右腕の腱を切った。
同時に刃を返し首の脈を切った。
・・・と、イメージした。本気で殺した。
「これでいいかな?」
カタナは殺したはずの「彼女」に話しかけた。
(うん、いいと思う。これで私は「死」に近づいた。
カタナが電車に飛び込んで死を選んだ時のように。)
武器は揃った。
視覚と聴覚に入ってきた情報を逆に干渉できる才能。
その才能と、死そのものである「彼女」を組み合わせて、テレビ画面やラジオの向こう側の人間を殺せる。
物理的な現象を引き起こす制御不能なポルターガイスト。
「なにより、いつでもおれの味方をして、想い、守ってくれるキミがいる。」
「ありがとう。」