山海塾創設者の天児牛大さんが旅立ったようだ。
74歳。自分の父より7歳若い。少し早い気もするが、第一線で精神を研ぎ澄ませながら緊張し続けた舞台を作り続けた立場を考えると驚異的な長生きなのかもしれない。
大学生だった自分はもう30年も前になっていた。
この前まで20年前の大学時代、という言い方をしていたのに。。。
始めて山海塾を観たのは銀座にあったセゾン劇場。
劇場に行くのも始めて。山海塾を観るのも初めて。衝撃だった。
こんな表現の仕方があるのか、と。
言葉に出してしまうと相手の受取る解釈はかなり統一感が出る。
それでも、俳句など行間など読むことで個々人の解釈は違う可能性はあるが、歌などは殆ど同じメッセージと受け取る。
だけど、山海塾はまるで違う。ひと言も発せず、肉体が発する暗黙のメッセージを観るものが感じ、判断する。
ソロの天児さんもこれまた圧巻だった。何がどうすごいのかは観た人それぞれが判断する事で言葉にするのは難しい。
日々どのように肉体と精神を鍛えているのか、舞台で全て表現しているかのようだ。こればかりは現場で観ないと分からないかもしれない。
天児さんは山海塾でやりたいことが表現出来たのだろうか?
まだまだ表現出来ない部分があったのだろうか。
いずれにしても次のメンバーが既に成熟し、これからの山海塾を盛り上げてくれると思う。
天児さんは既に舞台に出なくなって久しいが、存在が大きかったはず。
これから、どんな山海塾になって行くのか天国から観ていて欲しい。
天児さんは "死" というものとどのように対峙していたのだろうか。
山海塾の作品は常に根源的なテーマが前提となっていると感じている。
それを観て、自分の人生に映してみることで、それぞれの解釈が生まれるのだろう、と。
日本での評価が低すぎる点は不満だが、結局世界中、特にフランスやイタリアでは高い評価をもらえていることで一定の理解をされたことは確か。ただ、人から理解されようとしていたのかは疑問。
日本での公演は目を疑うほどにチケット代が安い。もう少し高くてもよいと思うほど。
天児さん、本当にありがとうございました。
さようなら。