211日(木)曇り

 大晦日。

 朝、小島信夫が旧制高校時代に書いた短篇を読んだ後、予定通り円明園に行った。新しく開通した地下鉄16号線の甘家口の駅でトイレに行ったら、清掃員に大晦日なのに仕事かと言われた。

 冬の円明園は殺風景で、余り面白くなかった。西洋建築遺跡地区に行ったがこれも初めて行った時のように感動はしなかった。

 その代わり、初めて行った正覚寺で、160年ぶりに円明園に帰ってきた馬首銅像を観ることができたのは良かった。

 

 

212日(金)晴れ

 春節。

 朝、小島信夫の『往還』と『燕京大学部隊』を読んだ。『燕京大学部隊』は面白かった。

 清華大学芸術博物館に行き、清朝の磁器を観た。これまで磁器には興味はなかったが面白くて、今後は機会を見つけて他の博物館にも磁器を観に行きたいと思った。清華大学芸術博物館に行くのは三回目なのに、道を間違えて遠回りしてしまった。

 昼食は護国寺街に行き、炸面を食べてビ―ル飲んだ。

 夜、北京にいる友人五人でネット飲み会をやり、二時間以上しゃべった。
 


 

213日(土)曇り

 朝、小島信夫の『小銃』と『吃音学院』を読む。ともに悪くはないが、切実さが伝わってこない。 

 中国に100年ぶりに戻ってきた天龍山石窟第8窟の仏首を観るために、魯迅博物館に行った。写真で観て良さそうな仏像だと期待していたせいか、それほどでもなかった。隋の時代の物らしい。

 午後はいつものメンバーで南鑼鼓巷に行き、豆角胡同で新彊料理を食べ、その後、「大躍啤酒」でビールを飲む。飲み過ぎて例によってしきりにトイレに行った。

 最後は什刹海の銀錠橋の楊庭が書いた碑を観て、提灯がいっぱいぶら下がっている煙袋斜街を見物し、鼓楼、鐘楼を観て、帰ってきた。気の置けない連中との散策は楽しい。



 

214日(日)曇り時々小雨

 今日はどこにも行かず、昼に食事に行き、ついでに果物を買っただけ。

 午後、部屋の掃除と洗濯をした。

 小島信夫の『丹心寮教員宿舎』『星』『殉教』『微笑』を読んだが、それほど心に響かない。40年前はもっと切実な気持ちで読んだと思うのだが。

 

215日(月)晴れ

 この二、三日気温は高いけれど空気がよどんだ日が続いていたが今日は北京の冬ならではの雲一つない快晴だった。

 快晴のなか、阜成門内大街の歴代帝王廟に行った。きれいに彩色を施された建物に一部「現状」を残したところがあって、良い試みだと思った。

 小島の短篇を今日も引き続き読んだ。今日読んだのは『馬』『アメリカン・スクール』『鬼』。『アメリカン・スクール』で描かれているユーモア、いじましさに親しみを感じた。


 

216日(火)晴れ

 晴れていたが寒かった。

 今日は『小島信夫全集4』の残りを全部読み終えた。自らがコキュとなっていることを知らずに(?)囲碁の本に熱中している人物が出てくる『黒い炎』のことは一部覚えていた。『城壁』はほとんど覚えていなかったが、面白かった。

 

217日(水)晴れ

 朝、小島信夫の『狼藉者のいる家』を読んでから、永定門近くの日本式焼き肉店に行った。いつもの三人と一緒。

 その後、四人で東便門の大運河の跡地を見学してから、北京城の東南角楼に登った。城壁の上から、正陽門が見えた。

 雲一つない好天気だったが寒かった。

 今日で春節休みも終了。