先日、久しぶりに日本映画を観たくなり、市川崑監督の『おとうと』(1960年公開)をネットで観てみた。ウイチャットで5元払った。

姉弟愛、家族愛を描いた映画。

ぐれてしまった弟役の川口浩の素人っぽい演技にへきえきしながらも、観ているうちに、それもあまり気にならなくなった。    

弟が最後には結核で死んでしまうストーリーだけれども、姉の弟への愛の高まりを見届けることができ、継母の姉弟への愛が生まれ、父親の優しさが確認されることになるという点ではハッピーエンドで、観て良かったと思わせてくれる映画であった。

川口浩の演技の素人っぽさは、あまり感心できるものではないが、観ながら人間はうまい下手は別にして、一生演技をして生きていくものなのかなとも思ったりした。素人っぽさはそういう意味では人生に対する初心ということを表していることにもなりはしないだろうか。

川口浩の演技もそうだが、この映画全体が観る人に人生に対する初心というものを感じさせるものを持っており、それがこの映画の良さなのだと言えるのかもしれない。