少し前のことになるけれど、井上靖の『天平の甍』を読んでみた。

 不勉強なものだから、鑑真来朝に当時の留学僧が深く関わっていたことをこの小説で初めて知った。

 この小説が文学作品として特に優れているかどうかは別にして、鑑真来朝という日中両国に関わる仏教史、古代史の背景が分かりやすく書かれてあり面白く読んだ。

 ところで、井上靖の小説は人物を大きな歴史の流れの中でとらえており、読んでいて気持ちが和らぐ。精神的に少し疲れているようなときに読むのにも適しているのではないだろうか。

 また機会をみつけて井上靖の歴史小説を読んでみたい。

 

『天平の甍』井上靖

 新潮文庫 平成17810 92刷改版