
とても純度の高い音楽だと思う。
この作品には、明確なテーマがあり、明確なストーリーがあり、明確なルールがあり、それらを表現する明確なサウンドがある。
これは、girlsとして突然の成功を収めた1人の男の、1人の女性との恋とその時に身の回りに起こる出来事や心の動きを時系列に並べた、至極パーソナルな作品だ。
実際、この作品はリサンドレとの出会いの曲で始まり、別れの曲で終わるが、恋の話だけじゃなく、音楽活動での葛藤や古い友人との再会、新しい街での発見などが音楽として表現されている。
ストーリー性を重視し、全ての曲に殆ど同じコードが用いられているし、前半から中盤の殆どには一曲目の「リサンドレのテーマ」のフレーズが差し込まれるのに対し、後半はまるですれ違う心を表すようにそのフレーズは姿を見せなくなるのも興味深い。
そしてポップミュージックとしてその純度を高めているのは、言うまでもなく彼の作る美しいメロディだ。彼は間違いなく、今世界で最も普遍的で美しいメロディを書くアーティストだと思う。(因みにくるりの岸田氏が唯一の対抗馬だと思っている)
この作品に触れると、まるでミニシアターの世界的名作を見終わった後のような清々しく柔らかい感動で胸がいっぱいになる。
2013年を代表する、最も素晴らしい作品のひとつになることは間違いないと思う。
Lysandre/Christopher Owens
★★★★★★★★★☆(9.0)