佐々木宏人さんのお母様が書かれた『きもの暮し女の暦』が届いたので読ませていただききました。

 

大正3年に釧路の大富豪の家に生まれた愛子さんは、お父様が苦学ののちに作られた莫大な財力と優れた審美眼で東京の白木屋(のちに東急百貨店日本橋店今はコレド)や京都の高島屋からお母様と姉妹の素晴らしい着物を取り寄せられ、それを纏って成長されます。

 

絵巻物の世界のようです。後に実践女子専門学校に入学され、そこで満足できずYMCAで英文タイプなどを学ばれスウェーデンの会社に勤務されるものの結核で長い療養。

 

回復されると上智大学でドイツ語を始められるという向学心に圧倒されました。やがて毎日新聞勤務の人と結婚。夫さんの徴兵や気性の激しい姑との同居や地方暮らしでお嬢様ではいられないもののいつも着物の美しさに心を配るような凛としながらも優しい気持ちで生き抜かれます。

 

大正、昭和、平成を生き抜いたみごとな女性の生き方に思わず感嘆させられる一冊でした。

 

おそらくご苦労も多かったと思いますが一言も否定的な言葉がないのが印象的で見習いたいとしみじみ思いました。

 

 

とても綺麗な本ですが装丁は娘さんが織られた織物とのことです。