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【テスラ -3】
そこには、こうあった。
ケイがゆっくり読み上げた。
第1条 テスラは、ヒトに危害を加えてはいけない。また危害を看過してはいけない。
第2条 テスラは、第1条に反しない限り、ヒトに服従しなければならない。
第3条 テスラは、第1条、第2条に反しない限り自分を守らなければならない。
「あら、これ知ってるわ。ロボットが守るべき決まり事なんでしょ。」
「良く知ってるね。」
「だって、学校で習うんだもの。」
20xx年になると社会進出を始めたロボットたちも大勢いた。
だから小学校のうちにこういう教育は行われたのである。
ケイは、続けた。
第4条 テスラは、人類に危難が及ぶと判断した時は、
第1条、第2条、第3条の規定にしばられない。
「えーっ!これってなんなの?こんなことって許されるの?」
ケイが大声をあげた。
「しーっ!誰かに聞かれるわよ。」
アンナがたしなめた。
「だって、これは大変なことだよ。全体最適っていってる。」
「全体最適ってなに?」
「極端に言うと人類全体の利益のために、
個人の利益をおさえることができるってことだね。」
「でも、それには前提があるのよね。人類への危難って。」
「その危難かどうかを判断するのが、テスラ自身だとしたら。」
「なんで、こんな条文をつけたのかしら?」
「わかった。すでに2015年の段階で危難が予想されてたんだ。」
「そういうことね。じゃあ、危難ってなにかしら?」
「わからない。」
「ところで、おにいちゃん! 私たちが隠れることができたのはなぜ?」
「僕がバイトで住基ネットのお守りやってるのは知ってるよね。」
「うん、ハッカーとして名を馳せてるもんね。」
「本来ハッカーは、ネガティブな意味じゃないよ。
破壊工作をするやつらはクラッカーと呼ぶんだ。
ちょっと間違った使い方が広まってる。それで・・・。」
「それで?」
「ちょっときな臭い感じがしたんだ。」
「配線がショートしたの?」
「そうじゃない、そうじゃない。データフローに違和感を感じた。」
「どういうこと?」
「だれかが盗み見てるって。」
「なんでわかるの?」
「詳しくは説明できないけど、
バイナリーコードのなかに周期的におかしなやつが混じっていた。」
「ウィルスなの?」
「ウイルスよりもっと変なやつ。」
「それで?」
「僕とアンナの情報を隠ぺいしてみた。」
「消したってこと?」
「ううん、一時的にスタックしたんだ。」
「スタック?」
「主記憶じゃないとこに退避させた。
すぐにおかしなことが始まった。」
「どうなったの?」
「個人情報へのアクセスがはじまった。
それがおとといの晩だね。それですぐに電話したんだ。」
「ボコーダーを通してたからすぐにお兄ちゃんだとわかった。
それにとっても大事な話だって。」
「ボコーダー通すと盗聴されにくいからね
。すぐにクルマを飛ばして安全なところって考えたんだ。」
「それで館山から野島崎だったのね。」
「この灯台には、公になっていないシェルターがあって
そこには数か月間隠れることができる。」
「よく知ってたわね?」
「まあ、いろんなつてがあってね。」
と、そのときだった。
二人はちょっと大きめの揺れを感じた。
でもそれは地震ではなかった。
(続く)
【2015年1月記】
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