人の肌にとても近い色の素材、カエデ材を使って肘なしの椅子を作ります。


カエデ材の軽作業用椅子

散孔材といって、木目があまりはっきりしない材料です。重く緻密で粘りがあり、古くはスキーはこのカエデを使って作りました。
椅子の素材としてはおあつらえ向きです。

 さて、このブログでは具体的な家具を作る過程を出来るだけ詳細に記述し、あるいは写真を使い、いったい家具というものがどのような過程、工程をへて皆様 のお手元へ届いているのかを知っていただこうと考えています。当然、DIY関連の人々の技術との違いにも触れていきます。

 

 また、私自身の経験から木工をする人、家具を作りをする人たちのからだ、あるいは健康についても考えてみたいと思います。私は注文家具を中心に家具作りを30年やっています。時には大工仕事もやりました。その中で、この職業独特のからだの故障やけがも経験しています。あるいは環境が原因と考えられる不調もありました。それらとどう付き合ってきたのかも振り返ってみます。どうぞよろしくおつきあいください。


 ところで、私はいわゆる木工教室を長く運営していました。その中で知ったのは、プロとして仕事をしている者と素人の間の大きな溝でした。道具の作り 方、手入れの仕方から知ってもらわなければならない人が大半で、そこをまずものにしてもらうことが主になる講座でした。しかし、どこから仕入れてくるのか知識ばか りが先行している人も多く、実際の作業の伴わない「頭でっかち」に閉口しました。そういう人は必ず口だけ、何も出来ません。何かで知った理屈を知っている だけで木工をものにしたつもりになっていて、では鉋を研げるのかというと、砥石の種類も知らないというお粗末です。結構苛立ちました。
 そのうえDIY雑誌の中身は嘘とでたらめが満載で、愕然としました。世の中こんな情報が大手を振っていることに、木の国の人間としていささかの怒りを感じ ています。なんとかしようと思って続けた教室も、一般の人たちとのあまりの距離にすっかり疲れてしまったところです。そこでせめて、出来る出来ないにかか わらず、「本当はこうするんです」ということだけでも知っていただき、どこかで購入した家具を見直し、愛して使っていただきたい、そんなささやかな希望を持っています。