高校の帰り道
街灯もまばらな神社の近く
薄暗い夜道で
突然真横を並走して走る
白い車の助手席の窓が開いた
(今から帰るのー?)
運転席から降りてきたその人は
自転車のカゴに入れていた私のトートバッグを
さっき開けた助手席の窓から車の中に乗せて
私に車に乗るように促した
(ちょっとドライブしようよ)
そこで乗ってしまった私も私
でも何故か悪い人には見えなかった
結局傍から見たら
間違いなく悪い人だったんだろうと思うけど
私は
私の日常に突如現れた
非 日常をくれた彼に
もうとっくに
恋に落ちていたのかもしれない
あとで聞いたら
車から声をかけるだいぶ前から
私の後をつけて様子を伺っていたらしい
(普通にヤバいよね?)
大通りから外れたその私の通学路は
家の近くまで大部分が田んぼ道で
たぶん地元の人しか通らない
そもそも車通りも少ないし
真っ暗になる道もある
あのへんを自転車で通る子は
私の住んでる地区とその隣の地区の子くらい
あと10分もあれば
私は無事に家に帰れていた
あの日
バスで帰っていたら
友達ともっと遅くまで遊んでいたら
あの夜
明るい大通りを通って帰っていたら
あの道を 通る 時間が
ちょっと違っていたら
彼は
私を
見つけてくれなかったのかな
あんな気持ちを知ることも
なかったのかな